2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15656207
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉本 忠夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80235895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 隆 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (70333896)
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Keywords | 医薬品 / 単分散 / ナノ粒子 / 錯体 / ドラッグデリバリー / 有機結晶 / サイズ制御 / 形態制御 |
Research Abstract |
単純な化学構造を有し、且つ比較的安定な白血病治療薬であるメルカプトプリンを研究対象に取り上げ、厳密な単分散化(均一粒径化)に関する検討を行った。まずメルカプトプリンの水溶液系における溶解条件を厳密に調べ、その結果をもとにメルカプトプリンが十分に溶解する高いpH領域でメルカプトプリン水溶液を調製した。この溶液に各種酸を攪拌下で連続添加することにより、pH降下に伴う溶解度の変化を利用した薬剤有機結晶粒子の析出を試みた。このとき、反応溶液系内にゼラチンや界面活性剤等を添加し、酸の添加速度を調整することにより、反応系を反応律速から拡散律速に変えることによって、本来は棒状に成長しやすいメルカプトプリン結晶粒子の形態を方形状に制御することが出来た。このような手法で得られる粒子は数十ミクロンオーダーであった。また、メルカプトプリンと金属イオンとの錯形成による析出を利用した粒子合成を試みたところ、反応系内に有機溶媒を添加してメルカプトプリンの溶解度を制御することにより、50-100nm程度の粒径を有するメルカプトプリンの金属錯体粒子の合成を可能とした。今回の研究で得られた所見は、メルカプトプリンに限らず多くの薬物有機結晶粒子のサイズ形態制御に応用可能であり、血管の細孔には取り込まれず、腫瘍新生血管の細孔のみに取り込まれるような粒径に医薬品粒子のサイズを制御してやれば、悪性腫瘍に選択的取り込まれるような医薬品の開発が可能である。
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