2003 Fiscal Year Annual Research Report
ソノケミストリを反応開始・促進とする新しい水熱反応プロセス
Project/Area Number |
15656225
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
榎本 兵治 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (80005412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 睦 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助手 (70261592)
金 放鳴 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 講師 (90323039)
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Keywords | 水熱反応 / 超音波化学 / 音響化学 / ソノケミストリ / 有機廃棄物処理 / 亜臨界水 / 難分解性廃棄物 |
Research Abstract |
超音波を液体や溶液に照射したとき液中に小さな気泡(キャビティ)が発生すると、この気泡が急激に圧縮して圧壊し、高温・高圧の局所場(ホットスポット)が形成する事が知られている。このホットスポットで生成した活性化学種により気泡内や気泡界面で様々な反応が進行する。本研究は、飽和蒸気圧以上の過熱水中すなわち水熱反応条件下でこの局所的な高温高圧場を発生させ、生成する活性化学種を反応のイニシエーションとして水熱反応に利用する新しい反応プロセス開発の可能性を検討することを目的とし、超音波を反応場に入射できる水熱反応実験装置を製作して基礎的な実験を行い、水熱反応への超音波の効果を評価した。 1.水熱反応場に超音波を入射しキャビテーションを起こすために、超音波振動子と音響センサを組み込み、小型バッチ式反応容器として高温高圧条件で反応実験を実施することができる実験装置を製作した。 2.反応容器内でのホットスポット形成に不可欠なキャビティの生成を判断するためのモニタリング手法を開発した。まず、常温常圧下で目視可能な容器内の溶液に超音波を照射してキャビテーションを起こし、このとき入射した超音波に対する内部の反射波を計測してキャビティ発生時に特異的に発生する信号波形の乱れを検出することができた。先に製作した小型圧力容器中での超音波照射による同様な測定を行い、実験系の共振周波数において上記の場合と同様な信号波形の乱れを検出した。 3.この反応容器を、用いて高温高圧の実際の反応条件で使用した場合の超音波の計測を行い、水熱反応条件下でも共振周波数の超音波を照射したばあいに同様な波形の乱れを検出した。これにより、高温高圧水中でもキャビティが発生しているものと判断し、フェノールを用いて水熱条件での有機物分解反応実験を行い、水熱反応条件下で超音波を照射した場合に水熱反応のみあるいは超音波を常温で照射した場合の結果を比較し、生成物組成が異なることを見出した。
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