2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリカル系プラズマにおける密度限界放射崩壊時のパワーバランスとその不可逆性
Project/Area Number |
15656235
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
山田 弘司 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (20200735)
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Keywords | 周辺プラズマ / 熱粒子束 / 不純物 / 壁コンディショニング / 放射損失 / 統合コード |
Research Abstract |
核融合を目指した高温プラズマの閉じ込めにおいて、運転密度限界点がどのような機構によって決まるかを明らかにするために、放射崩壊時のパワーバランスの時間変化を研究対象として選択し、その不可逆性に注目した研究を開始した。現有設備として大型ヘリカル装置(LHD)およびそれに付帯する加熱・計測機器を用いて、LHDで加熱・生成されたプラズマの密度限界付近で観測される放射崩壊現象の整理を進めた。主たる観測としてFIR干渉計による密度とボロメータアレイによる放射損失パワーの時間変化についてその両者の関係が非線形になり後者が前者に比して1乗から3乗程度への依存性へ遷移するところと周辺温度の急激な温度減少が始まるところに比較的よい一致が見られることを見出した。また、これらの非線形発展が見られた状態へ追加熱あるいは加熱パワーを下げることを行い、その動的な応答を調べた。追加熱をした塩合、放射損失が減少する場合が観測され、過程が可逆である範囲が存在することが示唆されたが、その定量的な評価が今後の解析による。その他、ダイバータへの粒子束とトーラス内外の密度、放射損失パワーの非一様性の有無について解析を進めた。これら多様な計測器により同時観測された現象について複合的にその相関の妥当性を検証することに加えて、本研究ではその際のパワーバランスの熱的安定性および時間発展を1次元輸送コードによるシミュレーションと合わせて議論することが主たる作業となる。最終的には磁気面関数と一致しない空間非一様性を扱うことを目指すが、15年度は磁気面関数によって1次元化した輸送の時間発展を解析できるコード整備に着手した。これには京大で開発された1次元輸送コードTASKコードを骨子とし、複雑な3次元構造を扱う平衡解析を組み合わせる作業を進めた。
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