2003 Fiscal Year Annual Research Report
シャジクモ藻綱植物における多細胞体制と器官形成の起源の解析
Project/Area Number |
15657022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 元己 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00193524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関本 弘之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (20281652)
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Keywords | ミカヅキモ / EST / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
被子植物を代表とする陸上植物は、最近の分子系統学的研究により緑色藻類の中の,接合藻類からシャジク藻類に連なるいわゆるシャジクモ藻綱の系統から進化してきたことが明らかになってきた. 接合藻類は基本的に単細胞生物であり,分裂による無性生殖と接合による有性生殖により繁殖する.一方,シャジクモ類は多細胞生物であり,雌雄の多細胞からなる生殖器官を持つ.シャジクモ類で進化した多細胞体制とそれに伴う多細胞器官の分化はその後の陸上植物の多様化の基盤ともいえるもので,その機構解明は植物での多様性創生機構の理解に不可欠である. 本研究ではミカヅキモ(接合藻類),シャジクモ(シャジクモ類)において1)栄養成長時および有性生殖過程特異的ESTの取得,2)2種の各EST間および既知遺伝子との相同性比較による同定,多細胞のシャジクモにおいて明らかに増加しているあるいは新規に獲得された遺伝子の同定,3)DNAマイクロアレイの作製,4)栄養成長時および有性生殖進行に伴う遺伝子発現変化の網羅的解析を行い,両植物の遺伝的プログラムの差異を明らかにする,それによりミカヅキモと比較によりシャジクモの多細胞生殖器官の形成にどのような分子生物学的機構が関与しているかを明らかにすることを目的である. 15年度は単細胞藻類のミカヅキモにてcDNAライブラリーの作成、ESTの取得、およびESTの解析を行った。その結果、合計1190個のESTを取得した。解析の結果、760の独立の配列が含まれた。この中で390個はDNAデータベースに登録されている既知の配列と相同性があった。今回得られたEST配列を基に、DNAマイクロアレイを作成した。そのアレイを、用いて接合誘導の際に発現が上昇してくる遺伝子のスクリーニングを行った結果、19個の候補遺伝子が得られた。現在、各遺伝子につき詳細な解析を試みている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sekimoto, H., Tanabe, Y., Takizawa, M., Itoh, N., Fukumoto, R., Ito, M.: "Expressed sequence tags from Closterium peracerosum-strigosum-littorale complex, a unicellular charophycean alga, in the sexual reproduction process"DNA Res.. 10. 147-153 (2003)