2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15657023
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邉 信久 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70212321)
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Keywords | タンパク質結晶 / 構造解析 / 高度好熱菌 / 温度因子 / 放射光 |
Research Abstract |
1.手法の確立を目的とし,非常に再現性良く入手可能な卵白リゾチーム結晶を用いて,室温と高温のX線回折強度データ収集を行った.卵白リゾチームは,微量示差熱測定によって結晶中でも70度付近で熱変成することを確認している.測定は,実験室のX線発生装置と放射光ビームラインを用いて実施したが,高温で結晶が崩壊する前にデータを収集するには放射光利用が必須であった.データ解析の結果,リゾチームの場合には分子全体に渡って温度因子が均等に上昇しており,熱変成が分子の得意的部位から進行することを示唆するような結果は得られなかった. 2.本年度解析を予定した高度好熱菌Pyrococcus horikoshii由来のタンパク質PH0670,PH1593の2つのタンパク質は,十分な品質の単結晶が得られなかった. 3.高度好熱菌Pyrococcus horikoshii由来のタンパク質PH0612(MinD)について高温データ収集を試みた.このタンパク質は室温から摂氏70度以上に渡って活性測定がなされており,高温側での高活性が確認されている.しかし,PH0612の結晶は,本研究課題で開発した結晶マウント法によると,高温で良好な回折強度データを収集することが出来なかった.本課題では高温で結晶を保持するためにタンパク質結晶周辺の溶媒を十分に取り去って後オイル封入しているが,PH0612の結晶はMPD(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)を主要結晶化剤として使用しており,それが原因と考え,別の結晶化条件を検討している. 本課題で提案した摂氏100度の高温でタンパク質の結晶構造解析を行う手法を確立した.ただし,蛋白質試料の結晶化条件によっては結晶マウント法にも改良の余地があり,また温度因子で議論することの限界も明らかとなった.今後応用を進める中でさらに検討を行う.
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