2003 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアにおける異性化アミノ酸含有蛋白質の代謝機構の解明
Project/Area Number |
15657030
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
木野内 忠稔 自治医科大学, 医学部, 助手 (90301457)
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Keywords | D-アミノ酸 / D-アスパラギン酸 / 活性酵素 / ミトコンドリア / アルツハイマー病 / 老化 / 酸化ストレス / プロテアーゼ |
Research Abstract |
まず、異性化蛋白質の代表であるD-アスパラギン酸(Asp)含有蛋白質の代謝を知るために、特異的な分解酵素を探索するための活性測定法を考案した。D-Aspのカルボキシ末端で分解されると蛍光物質(MCA)を遊離する合成基質:Succinyl-D-Asp-MCAを作成し、その分解活性を指標としてウサギ肝ミトコンドリアから分解酵素の精製法を確立した。精製した酵素は、D-Aspを含むアミロイドβ蛋白質1-40をD-Asp残基のカルボキシ末端でエンド型の様式で切断した。また、L-AspやD-Serなどの他のアミノ酸残基を認識して分解することは出来ず、非常に特異性の高い酵素であった。従って本酵素をD-Aspartyl Endopeptidase (DAEP)と名付けた。DAEPは、ミトコンドリア内膜に結合している高分子複合体であり、その局在は肝臓、腎臓、脾臓、精巣、卵巣,脳などであった。次に、DAEPに対する特異的な阻害剤を開発した。これを用いて精製DAEPに対してアフィニティーラベルを行ったところ、ミトコンドリアシャペロンのGRP75、コハク酸脱水素酵素、グルタミン酸脱水素酵素などが質量分析計により同定された。この結果は、DAEPがミトコンドリア内膜に局在することとよく合致している。これらの蛋白質に対する抗体で、精製DAEPに対し免疫沈降を行ったところ、その上清中のDAEP活性が減少した。従って、DAEP複合体はこれらの蛋白質が協同して基質を認識し、分解活性を発現していることが示唆された。東京都老人研ブレインバンクとの共同研究により、68-93才の正常脳とアルツハイマー病(AD)脳におけるDAEP活性について調査した。その結果、頭頂葉ではAD脳のほうが正常脳に比べ20%程度DAEP活性が減少しており、一方、後頭葉では正常脳のほうがAD脳より15%減少していた。また、個体間の最大の活性差が2倍以上あることも判明した(最大値:正常脳、最小値:AD脳、共に側頭葉)。
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Research Products
(1 results)