2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアにおける異性化アミノ酸含有蛋白質の代謝機構の解明
Project/Area Number |
15657030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木野内 忠稔 京都大学, 原子炉実験所, 講師 (90301457)
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Keywords | D-アミノ酸 / D-アスパラギン酸 / 活性酸素 / ミトコンドリア / アルツハイマー病 / 老化 / 酸化ストレス / プロテアーゼ |
Research Abstract |
昨年度までに、ミトコンドリア内膜に結合しているD-アスパラギン酸(Asp)含有蛋白質に対する特異的な分解酵素:D-Aspartyl Endopeptidase(DAEP)を発見し、その精製法を確立した。今年度は、まず(1)DAEPの酵素的性質の検討を進め、次に(2)脳組織におけるD-Asp含有蛋白質の蓄積量とDAEP活性との相関を調査するべく、D-Asp含有蛋白質の蓄積量を測定する方法を開発した。 (1):昨年度までの成果により、DAEPが複数の蛋白質からなる高分子複合体を形成していることが明らかになった。そこで、DAEPが分解酵素としての活性を発揮する活性中心の同定を行った。その結果、グルタミン酸脱水素酵素(GDH)の発現量がDAEP活性と良く相関することが明らかになり、GDHがDAEP活性に大きく貢献していることが示唆された。また、DAEPは基質としてD-Asp以外に、D-isoAsp残基やL-isoAsp残基を認識して分解することが明らかになった。従って、ミトコンドリアにおいて発生する活性酸素によって傷害を受けた蛋白質、即ちラセミ化・異性化Asp含有蛋白質に対し、DAEPはそれらの分解をすることによって新規の正常な蛋白質の合成を促進していることが考えられた。(2):脳において発見されたD-Asp含有蛋白質のうち、最もその動態がよく調べられているアミロイドβ蛋白質(Aβ)に注目し、D-Asp、L-isoAsp残基を含むAβを合成して、これを抗原として特異的な抗体を作成した。本抗体を用いてごく微量なD-Asp、L-isoAsp含有Aβを検出するためのサンドイッチELISA法を開発し、脳組織におけるD-Ash、L-isoAsp含有Aβの含量、また、全Aβに対するD-Asp、L-isoAsp含有Aβの割合を測定している。
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Research Products
(2 results)