2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子ノックアウトを用いたmiRNAの機能及び生成機構の解析
Project/Area Number |
15657039
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原田 文夫 金沢大学, がん研究所, 教授 (40124424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 敬治 金沢大学, がん研究所, 助手 (60272986)
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Keywords | miRNA / DT40 / 遺伝子ノックアウト |
Research Abstract |
現在ヒト細胞では175種類のmiRNAが同定されている。このうち、miR91,miR17,mR18,miR19a, miR20,miR19b, miR92の7種類の遺伝子は、13番染色体の約800bpの中に密集して存在することから、これらは一つの大きな前駆体RNAとして転写され、そこからそれぞれ切り出されて生成すると考えられる。従って、これらのmiRNAは特定の生命現象に関与する複数の蛋白質の発現を制御していると考えられ、その機能解明は非常に意義のあることである。そこで、この遺伝子群のトリのホモログをクローニングし、ノックアウト細胞作製を試みた。 まず、DT40 DNAを鋳型としてヒトmiR17プライマーとmiR18,miR19aあるいはmiR20プライマーでそれぞれPCRを行った結果、ヒトの場合と同様の長さのPCR産物が得られ、それらの塩基配列を決定したところ、対応するヒト遺伝子と類似の配列であった。そこでmiR17/miR20 PCR産物をプローブとして、トリDT40細胞の遺伝子ライブラリーのスクリーニングを行った。得られた遺伝子クローンの制限酵素地図を作製するとともに、miRNA遺伝子群を含む約7.5kbpの塩基配列を決定した。miRNA遺伝子群の部分を見ると、ヒト染色体13番のmiR91からmiR92の7種類のmiRNAが全く同じ順序で存在し、これらを含む800bpの塩基配列をヒトのものと比較すると、77.2%の相同性を示した。中でも各miRNAの前駆体部分では相同性はさらに高く、miRNAそのものの塩基配列はヒトとトリで全く同一であった。しかし、この800bpの前後の塩基配列を比較すると、相同性は余り見られなかった。このことは、これらのmiRNAが細胞内で非常に重要な機能を果たしていることを想像させる。miRNA遺伝子群を含む1.9kbpをpuromycinおよびblasticidin S耐性遺伝子で置き換えたノツクアウトコンストラクトを構築し、現在ノックアウト細胞を作製中である。
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