2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物揮発性成分の生態的農業技術への応用-果樹とコンパニオン植物の共生-
Project/Area Number |
15658010
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
弦間 洋 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (70094406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半田 高 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (00192708)
菅谷 純子 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (90302372)
瀬古澤 由彦 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助手 (90361310)
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Keywords | 揮発性成分 / モモ / SPME / HS / 香気 / ラクトン / エステル / アレロパシー / リンゴ |
Research Abstract |
前年度のハーブとモモのコンパニオンプランティングにおいて、揮発性成分をはじめとするハーブが発生する物質の作用が少なからずモモに影響していることを明らかにし、農業技術のひとつとして成長制御や摘果効果などの点で応用できることを示唆した。今年度は、モモ自体から発生される揮発性成分について精査し、その構成成分の同定、さらには果実発育に伴う消長、病虫害や物理的損傷などに関連した発生状況などを検討した。果実由来の揮発性成分は、SPME/HS法により果実からのヘッドスペースガスを吸着し、キャピラリーGCによって分析した。その結果、未熟果ではC_6アルデヒドが多量に存在し、その後果実発育に伴って減少し、成熟段階に入りアルコール類やγ-デカラクトンなどのラクトン類、エステル類が増加する傾向を認めた。これらは果実特有の香気を構成する要素でもある。これらの揮発成分が果実加害昆虫を誘引するか、またはそれを利用したトラップが可能であるかを圃場レベルで検証を試みたが、観察頭数が少なく明らかな結論を得るまでには至らなかった。 樹上における過熟果では未同定であるが、RT16分前後にピークが顕著に現れ、このピークは未熟果でも果実表面に傷害を与えると出現することを認めた。同様に成熟と傷害によって顕著に出現するピークはこの他に2つほど認められ、特異タンパクのエリシター作用や栽培環境における生物相へのアレロバシー作用を有するか興味が持たれた。今後、この点はさらに検討する予定である。 一方、リンゴ、キウイフルーツ果実についても同様な調査を行い、現在、解析中である。このうち、リンゴについては品種毎の際について調査し、主たるピークは同様であるが、明らかに品種特有の揮発成分が認められ、その消長もモモ同様変化することが分かった。但し、モモ果実よりはその変化は大きくないように伺えた。 果樹の揮発性成分の生態的農業への利用は、栽培環境が広範であるため、成分測定は可能であっても圃場レベルでの解析が難しい。今後は基礎資料を得る目的でアッセイ系の確立を検討するとともに、コンパニオンプランティングでの解析を進める予定である。
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