2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15658016
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
渡辺 京子 玉川大学, 農学部, 講師 (70276682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
露木 美英 玉川大学, 農学部, 助教授 (50146990)
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Keywords | 内生菌 / アセビ / 水平伝搬 |
Research Abstract |
アセビの健全葉の表面と内部には,菌類が寄生している.これは普遍的な事実であり,その菌種は決まっている.主な内生菌はPhomopsis属菌,Phyllosticta属菌,Pestalotiopsis属菌,Colletotrichum属菌であり,その他にAlternaria属菌,Fusarium属菌などである.これらの分離頻度は季節によって変わり,葉の老化によってPhyllosticta属菌の分離頻度が著しく増す. 侵入様式を検討する前に,これらの菌の寄生が垂直伝搬か水平伝搬によるものかを調べた.1本のアセビからPestalotiopsis属菌,Phyllsoticta属菌の両属菌を分離し,それぞれ26株,15株についてITS-rDNA領域の配列を調べたところ,同種に分類されながらも,異なる配列を有する菌株が多かった.また,果実が裂果する前の種子10粒と未熟な種子から作成したアセビの無菌培養苗10個体を対象に動物,菌の遺伝子抽出用キットを用いて遺伝子を抽出し,植物に内生菌が寄生しているかどうかを確認した.その結果,ITS-rDNA領域のユニバーサルプライマーで増幅された遺伝子は,稀にアセビの遺伝子が抽出されるのみで,菌類の遺伝子として確認できるものはなかった.以上のことから,アセビの内生菌は水平伝搬によるものといえる. Pestalotiopsis属菌の進入様式を確認するために,未熟な種子由来の無菌アセビにP.neglectaを接種したところ,角皮感染の可能性がほとんどないことがわかった. 今後の実験に用いるためのアセビの大量増殖法については,初期の生育用培地としてホルモン無添加の1/10MS培地が適していることがわかった.
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