2003 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアにおける二本鎖特異的リボヌクレアーゼによる遺伝子発現調節
Project/Area Number |
15658028
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
前田 理久 明治大学, 農学部, 助教授 (70287887)
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Keywords | ribonuclease III / post-transcriptional regulation / RNA stability control |
Research Abstract |
Alcaligenes denitrificans A41株においてビフェニルを単一炭素源での生育のみが著しく低下した変異株をtransposon mutagenesisによって取得した。その一つにrnc(RNase IIIをコードする)遺伝子にtransposonが挿入された変異株(rnc^-)がある。この変異株はbph遺伝子群(PCB/ビフェニル分解遺伝子群)の転写をノーザンドットブロット解析によって定量したところ、ビフェニル存在の有無にかかわらず転写量が著しく減少していることが明らかとなった。そこでRNase IIIが直接bph遺伝子群の転写物に作用しているかどうかをノーザンブロット解析、プライマーエクステンション、in vitro転写物との反応で検討したところ、転写物パターン、5'末端はともにほぼ変化がなく、in vitro転写物もプロセスされなかった。このことから、bph遺伝子群の転写はRNase IIIによって制御される未知の転写因子によって制御されていることが示唆された。 bph遺伝子群のmRNAはノーザンブロットおよびプライマーエクステンション解析からbphEからbphDまでの間で2カ所切断を受けていることが明らかとなった。切断後の断片の内、中央部に位置するmRNA分子がクリアなバンドを示していることから、各部分の安定性をリファンピシン阻害実験を行って評価したところ、中央部分のmRNA分子の安定性が他の部分と比べ異常に高いことが明らかとなった。これはこの部分のmRNAがコードしているのが基質であるビフェニルからジヒドロキシ体にする酵素であることから考えると、ビフェニルの毒性を迅速に解毒するために必要であり、新しい環境適応の例として意義深い発見であると考えられる。
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