2003 Fiscal Year Annual Research Report
花粉化石のDNA分析による森林植生変遷史の遺伝学的解析
Project/Area Number |
15658047
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陶山 佳久 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60282315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 光 京都府立大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30216775)
吉丸 博志 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 室長 (20353914)
清和 研二 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40261474)
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Keywords | 花粉分析 / 古代DNA / ヨーロッパアカマツ / 国際研究者交流 / スウェーデン |
Research Abstract |
スウェーデンに分布するマツ属樹種はヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris L.)のみしか知られていないため、新しい時代の堆積物中からマツ属花粉化石を収集すれば、異なる時代における単一種の複数サンプルを得ることになると言える。もしこれらの花粉化石試料を利用して複数サンプルのDNAを分析することができれば、異なる時代に成立した集団を対象とした遺伝的組成の比較が可能になる。つまり、過去の森林について遺伝的多様性や遺伝的構造に関する情報を解析し、森林植生変遷史に遺伝学的な情報を盛り込むことができると考えた。そこで本研究では、スウェーデン中部の湖の湖底堆積物を材料として異なる時代の堆積層からマツ属花粉を収集し、複数サンプルについて種内変異に富む領域の塩基配列を調べ、異なる年代に存在したヨーロッパアカマツ集団の遺伝的組成を比較した。 これまでのところ、約100年前の試料307粒のうち7粒から、約9,500年前の試料301粒のうち4粒から、合計11粒の花粉化石から塩基配列データが得られている。得られた配列は多型性に富んでおり、主に繰り返し配列の塩基数の違いによって10種類のハプロタイプに分けることができた。すなわち、変異が認められた3カ所の繰り返し配列のうち、Tは2〜4個、Aは9〜11個、Gは11〜12個のものが検出された。10種類のハプロタイプのうち7種類は現生の試料からは得られなかったタイプであり、時間的に遺伝的組成が変化した可能性が示唆された。しかし本研究は現在途中段階であるため、今後さらに多くの試料について塩基配列情報を得た上で解析を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)