2003 Fiscal Year Annual Research Report
マツノザイセンチュウに感染したクロマツにおける防御系遺伝子の発現様式
Project/Area Number |
15658049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二井 一禎 京都大学, 農学研究科, 教授 (50165445)
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Keywords | マツノザイセンチュウ / クロマツ / 防御系遺伝子 / 遺伝子発現解析 / mRNA / cDNA / Phenylalanin Ammonia Lyase / Ascorbic acid Peroxidase |
Research Abstract |
本申請研究は、マツノザイセンチュウに対するクロマツの木部組織内における遺伝子レベルの反応を明らかにしようとするものである。本年度は、クロマツ実生に対して病原線虫の接種を行い、その後の実生主軸におけるPhenylalanin Ammonia Lyase(以下、PALと略す)遺伝子の発現様式を明らかにすること、同時に、PAL以外の防御系遺伝子をクロマツゲノム中からクローニングすることを予定していた。 まず、クロマツ実生に対する線虫接種試験では、当初、モデル植物を対象としたRNA抽出キットを転用してRNA抽出、及び遺伝子発現解析を行う予定であったが、市販の抽出キットではクロマツ実生からのRNA抽出がうまく行えなかった。このため、新たにクロマツに適したRNA抽出法の検討し、クロマツ実生、及び、クロマツ苗木からのRNA抽出条件設定を行った。この、RNA抽出条件設定ののち,実際に実生を用いた接種試験を行ったところ、実生では、線虫接種の有無にかかわらず、恒常的なPALの発現が見られた。予備的に苗木を用いて行った別の試験では、実生で見られたような恒常的なPAL発現は観察されなかったため、この恒常的発現は各組織の分化が未発達な実生に特異的に見られる現象であると考えられた。このため、現在、試験に用いる実生の齢や、試験条件を検討している。一方、接種試験と並行して行ったクロマツ防御系遺伝子のクローニングでは、フェニルプロパノイド経路に関与するもの、抗酸化経路に関するもの、及び、いずれの経路に属しているか不明のものなど、合わせて8種類の防御系(病原体感染応答)遺伝子の部分塩基配列を得た。来年度は、本年度に得られた情報に基づいて、齢の異なる実生や、苗木を用いて、病原体感染応答遺伝子の発現様式の解析を行う予定である。
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