Research Abstract |
医療用超音波診断装置を耐圧容器に入れた水中音響ヵメラを用いて海洋生物を至近距離から観察し,生物の形状,姿勢,骨格、体内器官,行動などを定量的に測定する無侵襲の生物計測手法の開発を目的とした。 1.水中超音波カメラの改良 原型の医療用超音波診断装置は焦点距離が30cmなので,制御ソフトウェアを改造し,最大焦点距離2.4mまでの高解像度の水中音響画像を取得できるようにした。さらに,音響カメラと水中光学カメラを並置させ,光学/音響画像を同時に表示させるようにした。また,、水槽観察においては自動直線走査装置(リニアステージ)を用いて魚体内部の生体構造を糖密観察できるようにした。 2.水槽飼育生物の音響画像の解析 リニアステージを用いることにより,さらに高解像度の音響画像を得ることができ,魚類の脊椎骨,浮袋,肝臓,生殖腺等の形状を非破壊測定し,解剖結果と比較して,10%以下の誤差で測定できた。特に生殖腺の音響画像に着目し,外形からは判別が不可能なマダラの雌雄の判別を可能にした。さらにマダラ,サケ,スケトウダラ,ハタハタなどの卵巣体積めほか音響画像の解析により卵粒径の大きさを推定した。 3.現場海洋生物の音響画像の解析 昨年と同様に北海道南茅部町の水深12mの海底に音響カメラを設置し,約1週間生物観察をおこなった。ホッケ,アイナメ,タコ,クラゲ,ヒトデ,カジなど多くの生物が音響画像に記録され,光学カメラ画像から,対象生物を確認することができた。夜間にはヨコエビや動物プランクトンの群れが海藻の内部から間歇的に出入りする様子が確認された。また,出現生物の体長や遊泳速度を推定することができた。
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