2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15658059
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松山 倫也 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (00183955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 明彦 九州大学, 農学研究院, 助手 (10332842)
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Keywords | 卵質 / 排卵 / 受精率 / 紡錘体 / 卵成熟促進因子 / MPF活性 / マサバ / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
卵質低下の中でも、卵巣腔内に排卵された卵(排卵卵)の受精率が滞留時間に伴い急激に低下する「排卵後過熟」に焦点を絞り、その細胞学的要因を明らかにすることを目的として研究を進めた。本年度は養殖対象種として再現実験を行い易いマサバと、モデル動物としてゼブラフィッシュを用いて、排卵後過熟とMPF活性および紡錘体の形態について調べた。 マサバはhCG(500IU/Kg)を投与することにより33時間後に排卵させ、排卵後0,3,6,12,18,24,30および36時間後の排卵卵を採取し、人工授精を行い受精率、孵化率を調べた。MPF活性は[γ-^<32>P]ATPを用い、リン酸基のヒストンH1への取り込みによって測定した。一方、ゼブラフィッシュは、排卵後0および7.5時間の排卵卵を用いて、受精率、孵化率、MPF活性を測定するとともに、Bouin液で固定し、メタクリレート樹脂による組織切片標本を作製し、動物極に位置する卵門付近の細胞質に局在する第2減数分裂中期の紡錘体の形態を観察した。 マサバでは、排卵直後から急激に受精率、孵化率は減少し、排卵後18時間で受精率0となったが、MPF活性は排卵直後の高い活性を維持しており、また、アポトーシスも起こっていなかった。ゼブラフィッシュも同様の傾向を示した。これらのことは、マサバ、ゼビラフィッシュともに、排卵卵は時間が経過しても第2減数分裂中期にあることを示している。さらに、ゼブラフィッシュで紡錘体の形態を調べた結果、排卵後7.5時間の過熟卵では、紡錘体の軸方向の変化や紡錘糸の消失が90%を超える卵で起こっていた。すなわちゼブラフィッシュの排卵後過熟卵では仮に精子が進入できても、その後の卵細胞核における染色体の分配や極体の放出が正常に進行しないことを示唆しており、これが受精率低下の一因と考えられた。
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Research Products
(2 results)