2004 Fiscal Year Annual Research Report
塩生植物を用いた家畜生産システムの確立に関する研究
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15658075
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石川 尚人 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助手 (20202963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志水 勝好 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (40261771)
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Keywords | 砂漠化 / 土地荒廃 / 塩類集積土壌 / 畜産 / 修復 / 環境修復型農林業 / 塩生植物 / 飼料 / 反すう家畜 |
Research Abstract |
塩性植物の最適な収穫時期を推定するために、国内の海岸、筑波大学農林技術センターおよび中国内蒙古畜牧試験場において栽培した塩性植物の収穫時期別の栄養成分変化について評価する予定であるが、これまでに国内の海岸、筑波大学農林技術センターにおいて栽培した数種の塩生植物および耐塩性の強い植物について分析が終了した。その結果の概要は以下の通りである。 塩生植物アッケシソウ、シチメンソウ、ツルナおよびアトリプレックスを反すう家畜の飼料として用いる場合の成分特性については、灰分および塩分含有率が高く、逆に有機物含有量が低いことが明らかとなった。また、塩生植物は有機物含有率が低い割には比較的粗タンパク質含有率が高い植物であることが明らかとなった。含有粗タンパク質および炭水化物を画分した結果、塩生植物の特徴として、可溶性の窒素化合物の含有率が高いことが明らかとなった。従って、塩生植物を飼料に混合して用いる場合には、エネルギー供給源としてではなく、ミネラルおよび可溶性の窒素の供給として用いるのが妥当であること、また、混合比率の上限が、塩分含有率で決まることなどが明らかとなった。 また、アッケシソウの生長過程の栄養成分および消化性を調べた結果、栄養生長の初期から開花後の種子登熟期にかけて、タンパク質含有率の低下や繊維成分の消化率の低下が認められた。しかし、可消化成分の収量で見た場合は、種子登熟期前の生長が大きいため、この時期が最も収穫に適しているものと考えられた。種子形成後の植物体は、可消化成分含有率が低くなることが明らかとなった。 耐塩性が高いことが確認されたケナフ葉およびケナフ葉のサイレージの飼料成分に関する研究から、ケナフ葉およびケナフ葉のサイレージのどちらにおいても可溶性タンパク質の含有率が高いことが明らかとなった。このことは、塩生植物やケナフ葉は、通常の飼料にはあまり含まれていない可溶性窒素化合物あるいは可溶性タンパク質の補給源となることを示しており、これらの飼料に可溶性のエネルギー源を加えることにより、繊維の分解が盛んになる前のルーメン内微生物の増殖を介して、繊維成分の消化性を高めることができる可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)