2004 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類生殖前駆細胞による多種間キメラ作出と家禽生産および稀少鳥類復元への活用
Project/Area Number |
15658081
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鏡味 裕 信州大学, 農学部, 助教授 (80308303)
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Keywords | 多種間キメラ / 鳥類 / 生殖前駆細胞 / 家禽生産 / 発生工学 / 鳥類復元 |
Research Abstract |
多種間のキメラ個体を作出することを目的とし、放卵直後の鳥類受精卵中で発生する胚盤葉の明域中央部に極在する生殖前駆細胞の分化制御を行った。多種キメラ作出におけるドナー細胞として、希少性が高くまた市販価格も高い黒烏骨鶏、高品質の卵を生産するロードアイランドレッド、肉質に優れる横斑プリマスロック、をそれぞれ使用した。レシピエントとして産卵性の極めて高い白色レグホンを使用した。放卵直後の受精卵中で発生する胚盤葉を採取した。胚盤葉明域中央部の細胞塊を採取した。PBSを用いて細胞塊の周辺に付着する余分な卵黄、卵白および血液を完全に除去した。こうして生殖前駆細胞のみを選択的に採取した。放卵直後の白色レグホンの受精卵から濃厚卵白を除去した後にUV照射し胚発生を阻害した。さらに胚盤葉明域中央部の細胞塊を除去しレシピエントとした。事前に調整済みの3種ドナー細胞を試験管内で混合した。この混合ドナー細胞をレシピエント胚へ顕微注入した。全胚培養器を用いて培養し孵化個体を得た。孵化した雛のうちドナー由来の羽毛色が混在する個体を体細胞系列キメラと判定した。操作胚から3種間キメラおよび4種間の羽毛キメラが作出された。これらの多種キメラが性成熟に達した後、レシピエント各品種の雄または雌を用いて交配した。この後代検定の結果から3種の純粋な後代雛が得られた。この多種生殖細胞キメラは新たな家禽育種戦略の構築に貢献し得ると思われた。確立した研究手法を用いて効率的に実験モデルニワトリの復元も試みている。また同時に各ドナー細胞に外来レポーター遺伝子(lacZ)を導入した。これらの操作胚において導入した遺伝子の強い発現が認められた。今後は多数の遺伝子を同時に導入し、鳥類遺伝子発現のモデル動物として活用する。本年度に得られた新規の研究成果を活用し、来年度は鳥類生殖前駆細胞による多種間キメラ作出と家禽生産および希少鳥類復元の実現に向け、より一層研究を推進する予定である。
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Research Products
(3 results)