2003 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンターゲティングによる新規アトピー性皮膚炎モデル動物の開発
Project/Area Number |
15658086
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
森松 正美 岩手大学, 農学部, 助教授 (70241370)
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Keywords | 皮膚炎 / 疾患モデル / 遺伝子ターゲティング / アトピー |
Research Abstract |
最近、ある機能未知の遺伝子を同定して機能解析のためにジーンターゲティングによりこの遺伝子を破壊したマウスを作製したところ、ホモ型欠損マウス(仮にAllergic Dermatitis、ALDマウスと呼ぶ)の顔面を中心にアトピー性皮膚炎様の病変が認められた。本研究の目的は、外見的に皮膚炎を認めるALDマウスについてその病態を解析し、これを疾患モデル動物として確立することである。病態の解析は、アトピー性皮膚炎との関係に焦点をあてて実施した。 1.マウスの交配と維持:アイソレータを用いて微生物学的に清浄な環境でマウスを飼育した。交配の過程においては、遺伝型をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により判定した。これまで、ホモ欠損型のADLマウスの数が不足している点が支障となっていた。繁殖規模を拡大すると同時に近交系への戻し交配を進め、この点がやや改善された。さらに、マウスの系統によって免疫応答に差があることが報告されているので、遺伝的背景の影響を検討する準備を実施した。すなわち、Th1優勢のC57BL/6、およびTh2優勢のBALB/cへの戻し交配を進めた。 2.病態の解析:肉眼的観察を行い、皮膚病変の写真を継続的に記録した。皮膚病変部位の組織学的検索を行い、白血球系細胞の細胞浸潤を認めた。細胞種を同定するために各種組織化学的検索を実施した。好中球、ランゲルハンス細胞、肥満細胞やTリンパ球や単球・マクロファージの浸潤が認められた。これらの細胞浸潤は、皮膚病変の進展によって変化していった。 以上より、本遺伝子操作マウスを疾患モデル動物として応用するための基盤の整備を進めることができた。
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