2005 Fiscal Year Annual Research Report
体外培養組織情報を利用したウシ子宮の新規生殖機能評価法の開発
Project/Area Number |
15658099
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
伊賀 浩輔 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 東北農業研究センター畜産草地部, 主任研究官 (00343963)
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Keywords | ウシ / リピートブリーダー / プロスタグランジン / 子宮機能 |
Research Abstract |
本研究は、ウシ子宮内膜組織のバイオプシーを利用した子宮の直接的な繁殖生理機能評価の確立を目的としている。平成16年度に、採取組織のプロスタグランジンF2α(PG)産生産が子宮内膜の生殖機能評価の指標となりうる可能性が示唆されたことから、平成17年度は、繁殖障害が無いと診断された牛群(正常牛群:n=6)および繁殖障害の一つであるリピートブリーダー(RB)群(n=6)について、発情後16-18日に子宮内膜を採取・培養し、採取組織のPG産生能およびオキシトシン(OT)に対する感受性を調べた。その結果、PG産生能においては、正常牛およびRB群に有意な差は認められなかった。一方、OTに対する感受性では、正常牛群においてPG産生能が有意に促進されたが、RB群においては促進されなかった。次に、RBの子宮内環境の改善が子宮内膜のOTに対する感受性におよぼす影響を調べた。正常牛群(n=5)およびRB群(n=5)について、発情後16-18日に子宮内膜を採取した後、子宮疾患等の治療に使用されているヨード(PI)剤を子宮内へ投与し、次の発情後16-18日に再度、子宮内膜を採取した。それぞれの組織は培養し、PG産性能およびOTに対する感受性を調べた。その結果、RB群においてPI剤投与後のPG産性能は、PI剤投与前と比較して高い値(0.5-16.5倍)を示したが、有意な差は認められなかった。また、PI投与後のOTに対する感受性においては、PI剤投与前と比較して高い値を示したが有意な差は認められなかった。 以上の結果から、1.OT感受性試験を利用したPG産性能は子宮機能評価の指標の一つとして利用可能なこと。2.RBへのPI剤投与は、OTに対する感受性の改善に効果は無いが、子宮内膜のPG産性能の促進が期待できることから、少なくとも子宮内環境の改善に有用な手法の一つであることが明らかとなった。
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