2004 Fiscal Year Annual Research Report
パラジウム触媒を用いた新規反応活性種の創出と合成反応への利用
Project/Area Number |
15659003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 徹明 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (40116059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前崎 直容 大阪大学, 薬学研究所, 助教授 (00229296)
大野 浩章 大阪大学, 薬学研究所, 助手 (30322192)
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Keywords | パラジウム触媒 / パラジウムカルベン / シクロプロパン / タンデム反応 / スルフェン酸亜鉛 / ビニルスルホキシド |
Research Abstract |
パラジウム触媒は数多くの合成法を生み出し、従来では困難な様々な新規化学変換法や複雑な骨格の効率的合成を可能にしてきた.報告者らは,新規反応活性種の創出と合成反応への利用を目的として研究を行い、平成16年度に以下の成果を得た. (1)パラジウムカルベノイドの新しい発生法を用いてた新規環形成反応の開発 パラジウムカルベノイド種はシクロプロパンを生成する有用な反応活性種である.その発生には危険性の高いジアゾニウム化合物を用いるのが一般的であり,π-アリル錯体やアレンを用いた発生法は皆無であった.我々は,昨年度に引き続きエンアレンの閉環反応を検討し,エンアレンに対してアリルカルボナート存在下パラジウム触媒を作用させると,興味深いシクロプロパン化反応が進行することを見出した.本反応はパラジウムカルベノイドを中間体として進行していると考えられ,パラジウムカルベノイド種の新しい発生法として応用が期待できる.さらに,反応条件を変えるだけで同一のエンアレンからピロリジン体とシクロプロパンを作り分けられることが明らかとなった(J.Org.Chem.,2004,69,4541-4544). (2)パラジウム触媒により生じるスルフェン酸亜鉛種を用いた新規反応の開発 昨年度に引き続き,独自に見出したパラジウム触媒によるスルフォン酸亜鉛種の新規発生法について検討を行った.今年度は,利用価値の高いキラルなビニルスルホキシドの合成に本反応を応用すべく,スルフェン酸亜鉛種の原料である1-アルキニルスルホキシドの硫黄原子上の置換基を種々検討した結果,イソボルネオール型の不斉補助剤を用いた場合に,9:1以上の高い選択性で反応が進行することを明らかにすることができた.また,分子内反応による複素環合成についても検討し,環状ビニルスルホキシドの新しい合成法を見出した.
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Research Products
(6 results)