2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜・分泌タンパク質のゴルジ体非依存的輸送経路の解析
Project/Area Number |
15659012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 利治 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (80179233)
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Keywords | 膜タンパク質 / 小胞体 / 小胞輸送 / ゴルジ体 / 分泌タンパク質 |
Research Abstract |
一般に細胞膜タンパク質はERで生合成後、ゴルジ体を経て細胞膜に局在する。アルツハイマー病(AD)の原因タンパク質の1つアミロイド前駆体蛋白質(APP)も、この過程を経て細胞膜に局在後、エンドサイトーシスによる細胞内への取り込みを受け、最終的に分解される。細胞膜タンパク質の分泌・輸送経路が正常に機能しないと、APPの場合AD発症の原因とされるβ-アミロイドが多く産生されるようになり、細胞病態を引き起こす。そこで、APPの細胞内輸送を制御するタンパク質を単離する目的でAPP細胞質ドメイン結合タンパク質(JIPs,X11L等)を単離し機能解析を行った。 APPを発現する細胞ではAPPはゴルジ体・細胞膜に分布したが、X11Lを強制発現させるとAPPのゴルジ体での局在が減少し小胞に分布が観察された。ゴルジ体への輸送をBrefeldinAで阻害すると、細胞膜上のAPP量は減少したが、X11Lを過剰発現した細胞では、APPはBrefeldinA存在化でも細胞膜上に輸送される事を明らかにした。この時、細胞膜上のAPPは、ゴルジ体を介さないで細胞膜まで輸送されていることが示唆された(投稿中)。細胞にはゴルジ体を介さないで細胞膜蛋白質の輸送経路があり、少なくともAPPでは、X11Lの発現は、この経路を増強・活性化していると考えられた。X11L発現細胞ではAPPの代謝は安定化しており、β-アミロイドの生成は抑制されている。APP切断酵素であるセクリターゼが主にゴルジ分泌系に存在するので、X11L発現細胞では、非ゴルジ分泌経路が活性化されるためにAPPが切断から逃れている可能性が示唆された。 今後、X11LのAPP輸送機能部位の同定と、非ゴルジ分泌経路構成因子の同定・解明を行い、非ゴルジ細胞膜タンパク質分泌経路の解明に取り組む。非ゴルジ分泌経路の実証と解明は、細胞膜タンパク質の輸送機構を保証する仕組みを解明する上で重要である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Inomata, H., Suzuki, T., et al.: "A scaffold protein JIP-1b enhances amyloid precursor protein phosphorylation by JNK and its association with kinesin light chain 1."J.Biol.Chem.. 278. 22946-22955 (2003)
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[Publications] Sumioka, Suzuki, T. et al.: "XB51 isoforms mediate Alzheimerユs b-amyloid peptide production by X11L-dependent and ミindependent mechanisms."Biochem.J.. 261-268 (2003)
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[Publications] Araki, Y., Suzuki, T.et al.: "Novel cadherin-related membrane proteins, Alcadeins, enhance the X11-like protein mediated stabilization of amyloid b-protein precursor metabolism."J.Biol.Chem.. 278. 49448-49458 (2003)
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[Publications] Sawamura, N., Suzuki, T., et al.: "Modulation of amyloid precursor protein cleavage by cellular Sphingolipids."J.Biol.Chem.. (in press). (2004)
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[Publications] 多留偉功, 中矢正, 鈴木利治: "タンパク質の構造変化・代謝異常と神経変性疾患 わかる実験医学シリーズ タンパク質がわかる"羊土社. 6/132 (2003)