2003 Fiscal Year Annual Research Report
コレステロール機能の新たな側面:生体防御システムの調節因子としての役割
Project/Area Number |
15659029
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 英之 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (40142351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 卓巳 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (10301342)
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Keywords | コレステロール / Cytochrome P450 / CYP2B / CYP3A / デキサメサゾン / 発現抑制 |
Research Abstract |
薬物代謝型P450によるコレステロールの代謝並びにCYP2B発現に及ぼすコレステロール代謝物の影響について検討を行った。その結果、ラット肝20,000×g上清によるコレステロールの代謝において、CYP3A誘導剤であるデキサメサゾン(DEX)を処理することによりコレステロールの代謝率が増加することが明らかとなった。このことから、コレステロール代謝にCYP3Aの関与が示唆された。肝初代培養細胞を用いた実験において、フェノバルビタール(PB)によるCYP2Bの誘導をコレステロール酸化体が抑制することが観察された。また、抑制効果を持つものは、コレステロール脱水素体が更に水酸化を受けた構造であることが示唆された。 以上の結果より、生体におけるコレステロールの代謝にはCYP3A分子種が関与している可能性、更にコレステロール代謝物の中にCYP2Bの発現制御を担う物質があることが示唆された。これらの知見は、CYP2B誘導機構の解明において貴重な情報になり得ると考えられた。既に、コレステロール生合成阻害剤によるCYP2B誘導はDEXを併用処理することにより抑制されることが報告されている。この結果および本研究での成績で明らかにした、DEXによるコレステロール代謝率の増加を合わせて考察すると、CYP3Aが合成する代謝物の中にCYP2B発現制御を担う物質が存在すると推測された。
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