2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15659046
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川真田 聖一 広島大学, 医学部, 教授 (30127641)
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Keywords | ホルムアルデヒド / 解剖実習 / 遺体 / 炭酸アンモニウム / ヘキサメチレンテトラミン / 分光光度計 / シックハウス症候群 / ホルマリン |
Research Abstract |
ホルムアルデヒドは、解剖実習用の遺体処置に広く使用されているが、解剖実習室の空気中濃度は許容濃度を越えている。そのため、健康への悪影響が注目されており、ホルムアルデヒドを減少させる必要がある。10倍希釈のホルマリンを5リットル潅流して保管した遺体に、ホルムアルデヒドを減少させる目的で、炭酸アンモニウム溶液を注入した場合と注入しない場合(各5体)で、ホルムアルデヒド濃度を比較した。空気中のホルムアルデヒドはガス検知管で、組織中の濃度は、組織を遠心分離して液を抽出し、試薬で発色させて分光光度計で定量した。炭酸アンモニウムで処置しなかった場合、遺体表面から10cmでの空気中ホルムアルデヒド濃度は、開いた胸腔上で1.2-3.0ppm、肝臓、肺や筋などで0.15-0.53%だった。ホルマリン固定した遺体の動脈に炭酸アンモニウムの飽和水溶液を1.0、1.5あるいは2.0リットル注入すると、ホルムアルデヒド濃度は、開いた胸腔上で0.5-1.0ppm、肝臓、肺や筋などで0.012-0.36%と低下し、とくに2.0リットル注入した3体では非常に低下していた。in vitroでホルムアルデヒド溶液に炭酸アンモニウムを加えていくと、加え始めはホルムアルデヒド濃度が急激に低下し、加える量が増加すると双曲線状に漸減した。この溶液を質量分析機でしらべると、ヘキサメチレンテトラミンが検出された。炭酸アンモニウムは、ホルムアルデヒドを無害なヘキサメチレンテトラミンに変えると考えられる。実習室に特別な換気装置が無い場合でも、ホルマリン固定した遺体に炭酸アンモニウム飽和水溶液を再潅流することにより、解剖実習室の空気中ホルムアルデヒドを低減化できると思われる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kawamata S, Ozawa J, Hashimoto M, Kurose T, Shinohara H: "Structure of the rat subcutaneous connective tissue in relation to its sliding mechanism."Archives of Histology and Cytology. 66(3). 273-279 (2003)
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[Publications] Masuda T, Ogawa H, Matsushima T, Kawamata S, Sasahara M, Kuroda K, Suzuki Y, Takata Y, Yamazaki M, Takusagawa F, Pitot HC.: "Localization and hormonal control of serine dehydratase during metabolic acidosis differ markedly from those of phosphoenolpyruvate carboxykinase in rat kidney."International Journal of Biochemistry and Cell Biology. 35(8). 1234-1247 (2003)
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[Publications] Ozawa J, Kawamata S, Kurosaki T, Iwamizu Y, Matsuura N, Abiko S, Kai S: "Ischemic injury and repair process after transection in hypothyroid rat muscles."Muscle & Nerve. 27(5). 595-603 (2003)
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[Publications] 川真田 聖一: "筋の解剖学.筋力(奈良 勲編)"医歯薬出版. 18 (2004)