2003 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞から心筋細胞への分化過程に於けるイオンチャネルの機能発現機序の検討
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15659049
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川野 誠子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00177718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 文生 理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (70342871)
市野瀬 志津子 東京医科歯科大学, 機器分析センター, 助手 (60014156)
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Keywords | 胚性幹細胞 / 分化誘導 / 心筋細胞 / ES細胞 / Calcium / Na-Kポンプ |
Research Abstract |
本年度は、骨髄由来の間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell:MSC)を培養し分化誘導させる前の非興奮性細胞としての機能の検討を行った。特に、細胞の分化、増殖やその他種々の機能に重要な働きをする細胞内のCa^<2+>に注目し、細胞膜Ca^<2+>流入経路、細胞外への汲み出し機構を明らかにすることが出来た。これらの成果は論文として発表した(Cell Calcium 2003)。しかし、間葉系幹細胞から,心筋への誘導は非常に困難で、数を重ねて実験を繰り返しているが未だ成功していない。これを確立するためのヒントを得るために胚性幹細胞(マウス)(ES 細胞)から心筋への分化誘導の検討を行った。Cardiac α-action promoter GFP標識心筋前駆細胞を作成するために、クローニングを行い、この遺伝子をES細胞に発現させた。Leukemia inhibitory factor:LIFを培養液から,除去して培養をすると、4-5日後にはGFP蛍光を発する細胞が認識され始め、約2週間後にはこれらGFP蛍光発色細胞群の拍動が認められ始め、心筋への分化誘導を確立することが出来た。GFP蛍光発色をパイロットとして心筋前駆細胞を分化経過の各ステージで収集し、分化過程における細胞機熊調節機構の発現様式、機序の検討を1)遺伝子/蛋白解析,2)細胞内カルシウム蛍光測定,3)イオンチャネル電流記録等により行った。特に心筋細胞の機能に非常に重要な役割を果たすNa-Kポンプの機能的発現の詳細を解明することが出来、現在論文として投稿中である。未分化ES細胞にはNa-Kポンプが機能しているが、心筋への分化とともにその活性が増強していた。これらの機能に関与しているNa-Kポンプの遺伝子のタイプが分化の初期にはalpha 1が主であるが心筋での機能に重要な役割を果たすalpha 2は分化の4日ごろの初期から遺伝子の発現が認められ始め、その機能は分化とともに増強していることを明らかにすることが出来た。本研究で、マウスのES細胞からの分化を明らかに出来たが、人のMSCから心筋への分化誘導は未だ成功しておらず、今後引き続き研究を続ける必要があると考える。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] E.Yanagida, S.Kawano et al.: "Functional Expression of Ca^<2+> Signaling Pathways in mouse embryonic stem cells"Cell Calcium. (in press). (2004)
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[Publications] S.Kawano, K.Otsu, S.Shoji, S.Yamagata, M.Hiraoka.: "Ca^<2+> oscillations regulated by Na^+-Ca^<2+> exchanger and plasma membrane Ca^<2+> pump induce fluctuations of membrane currents and potentials in human mesenchymal stem cells."Cell Calcium. 34. 145-156 (2003)
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[Publications] M.Tagami, S.Kawano et al.: "Genetic and ultrastructural demonstration of strong reversibility in human mesenchymal stem cell."Cell Tissue Research. 312. 32-40 (2003)
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[Publications] K.Takeuchil, S.Kawano, I.Shimada., et al.: "Structural basis of the KcsA K^+ channel and agitoxin2 pore-blocking toxin interaction by using the transferred cross-saturation method."Structure. 11. 1381-1392 (2003)
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[Publications] I.Kocic, Y.Hirano, S.Kawano, M.Hiraoka.: "Regional and frequency-dependent changes in action potentials and transient outward K^+ currents in ventricular myocytes from J-2-K cardiomyopathic hamsters"Basic Research in Cardiology. 98(in press). (2003)
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[Publications] L.M.Wu, M.Orikabe, Y.Hirano, S.Kawano, Hiraoka M.: "Effects of Na^+ channel blocker, pilsicainide, on HERG current expressed in HEK-293 cells."Journal of Cardiovasc Pharmacology.. 42. 410-418 (2003)