2004 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞から心筋細胞への分化過程に於けるイオンチャネルの機能発現機序の検討
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15659049
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川野 誠子 国立大学法人東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00177718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市野瀬 志津子 国立大学法人東京医科歯科大学, 機器分析センター, 助手 (60014156)
吉川 文生 理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (70342871)
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Keywords | 幹細胞 / 心筋分化 / Caチャネル / L-type / T-type / リアノジン受容体 / Na-Kポンプ / Na-Ca交換機構 |
Research Abstract |
本研究は、幹細胞から心筋細胞へ分化誘導する過程で心筋細胞としての機能を獲得していく経過およびその機序を解明する事を目的とした。特に、細胞の分化、増殖やその他種々の機能に重要な働きをし、且つ心筋細胞の興奮-収縮に必要不可欠な細胞内Ca^<2+>に注目し、そのシグナル伝達系が分化の過程でどのように発現し機能を獲得して行くのかを検討した。本申請課題であるヒト間葉系幹細胞から心筋への誘導法は未だ困難であり本研究機関内では成功しなかった。従って、本研究の目的を達成するために既に分化誘導法が確立しているマウスの胚性幹(ES)細胞を用いての検討も行っており、以下の結果を得ることが出来た。未分化のES細胞では細胞膜のCa流入経路はstore-operated Ca entry (Isoc)が主であり、電位依存性Caチャネルは遺伝子的にも全く発現は認められなかった。心筋分化の初期(4-6日)でT-type Caチャネルの発現と機能が見られ始め、L-type Caチャネルの発現は遅れて分化の中期(10日)頃認められ始めその後心筋に分化すると共に電流が増大した。細胞内Ca放出機構は未分化の時期にはリアノジン受容体は機能しておらず、IP3受容体からのCa放出が主であったが、心筋分化誘導の初期からリアノジン受容体の機能的発現が認められた。一方、細胞膜のNa-Kポンプは心筋タイプであるα-1はmRNA及びポンプ機能ともに未分化ES細胞には認められないが、分化の初期から発現が開始し、分化とともに増大して行った。Na-Ca交換機構の心筋タイプのNCX1はES細胞に既に発現していたが、心筋へ分化の過程でmRNAの発現量増加に伴い、交換機能も増大して行った。しかし、Na-KポンプとNa-Ca交換機構両者の機能的協関は分化の中期以降に成立することが判明し、両者の機能的協関には両蛋白の発現の他未知の因子の関与していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)