2004 Fiscal Year Annual Research Report
記憶情報処理における海馬ゲーティング機構の役割解明
Project/Area Number |
15659053
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
秋田 久直 北里大学, 医療衛生学部, 助教授 (70118777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐治 眞理 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (50114179)
野田 和子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (60050704)
緒形 雅則 北里大学, 医療衛生学部, 助手 (20194425)
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Keywords | 記憶 / ゲーティング機構 / 視床下部上乳頭核 / 海馬 / 脳波 / シーター波 / 自由行動 / テレメーター |
Research Abstract |
自由行動中のラットに行動課題が与えられると、情報環境やその場の物理的状況の変化に応じてこれらの各種の記憶モード間の切り替えが行われ、異なる種類の学習が実行されると考えられる。共同実験者の佐治は、視床下部上乳頭核から海馬歯状回への入力系が、海馬内での情報伝搬の流れのスイッチングを行うゲーティング機構を形成していることを見出した。この入力系の一時遮断により、行動様式切り替えと脳波θ波出現が阻害されるか否かの検討を本研究の目的とした。 平成15年度には、自由行動中のラット海馬より安定した脳波導出法を開発し、ラット海馬より導出した脳波と同時録画した行動を同時記録するシステムを作成した。これにより、海馬脳波との行動と相関を観察することが可能となった。また、飼育環境と脳波の関連の検討し、1ヶ月の飼育期間では単一飼育と2匹飼育環境下での脳波に大差は認めらなかった。さらに、海馬シータ波出現を示標とし、各種行動を分類した。 平成16年度には、音刺激、餌、Wheelの回転を関連付けて学習させ、音刺激により注意が餌に向いたとき(探索行動の出現)の海馬θ波出現を指標とし、行動切り替えと脳波との関係について、正常時と上乳頭核一時遮断時の相違を比較・検討するべく研究を進めてきた。オープンフィールド内に配置したWheelの回転を計測し、回転課題を達成した後に音刺激を与え、指定時間内に餌エリアに移動した場合にのみ報酬を与えるという行動パラダイムを考案した。これら一連の計測・制御を行うためにコンピュータを用いたシステムも構築した。これまでに音刺激とエサと関連づけられた音刺激を与えると、海馬脳波にθ波に加えて高い周波数成分の増加が観察された。この周波数変化が、上乳頭核の一時的な遮断で影響を受けるか否かの結論はまだ得ていないが、影響を受けるという仮説を立て、今後も研究を進める予定である。
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