2004 Fiscal Year Annual Research Report
椎骨静脈叢を経由して帰還する血液による体温調節反応の修飾
Project/Area Number |
15659056
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
紫藤 治 島根大学, 医学部, 教授 (40175386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 道男 島根大学, 医学部, 助教授 (70112133)
丸山 めぐみ 島根大学, 医学部, 助手 (80346379)
川北 映輔 島根大学, 医学部, 助手 (30362916)
北垣 一 島根大学, 医学部, 教授 (10234238)
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Keywords | MRI / ガドリニウム / 運動 / 内椎骨静脈叢 / 骨髄 |
Research Abstract |
本年度は運動後に下肢血流量が増加した際に、下肢から帰還する静脈血が脊柱管内の静脈叢をどの程度経由するかをMRIによる血管造影により検討した。 健康な成人男子3名を被験者とした。被験者には実験の内容、危険性などを詳細に説明し、それぞれの被験者から書式のinformed consentを得た。予備実験として運動後の下腿血流量の変化を測定した。自転車エルゴメーターによる運動負荷により各被験者の最大酸素摂取量(V^^・O_2max)を決定した。実験当日、被験者はTシャツ、短パンを着用し環境温25℃、相対湿度50%に設定した人工気象室内で仰臥位を保った。30分の安静を保った後、下腿血流量を水銀ストレインゲージを用いた静脈閉塞プレチスモグラフィーにより測定した。60%あるいは70%V^^・O_2maxの運動を20分間行った後、10分毎に下腿血流量を測定した。この結果、運動後約50分間は下腿血流量が安静時の2倍以上に保たれることが確認された。MRI撮影当日、被験者は60%V^^・O_2maxの自転車エルゴメータ運動を20分間行い、足背静脈にカニュレーションした後、MRI機内で腹臥位を保った。安静を得た後、ガドリニウム系造影剤(マグネスコープ、ガドテル酸メグルミン3.7695g/15ml含有)15倍希釈液を1ml/secの速度で20ml静脈内へ投与した。投与前後の腰部MRI画像を前額断、歯状断で撮影した。2名の被験者では下肢からの造影剤は下大静脈を帰還し、脊柱管内はほとんど造影されなかった。しかし、昨年の検討で下部腰椎部において腰静脈を経由して脊柱管へ向う血流が確認された被験者では、大量の血液が脊柱管内(特に前内椎骨静脈叢)を上行し、下部胸髄にまで到達した。これらから、運動時、下肢から帰還する血液量が増加した場合には、かなりの帰還血が脊柱管内を経由することがありうることが示唆された。
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