2003 Fiscal Year Annual Research Report
Nijmegen症候群バリアントの不死化細胞株の樹立と病因の解明
Project/Area Number |
15659078
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松浦 伸也 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (90274133)
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Keywords | ナイミーヘン症候群 / バリアント / 放射線感受性 / hTERT / 不死化細胞 / NBS1 / 相補性試験 / 染色体不安定症候群 |
Research Abstract |
2001年に山田らは新しい染色体断裂症候群を報告した。患者は非血縁結婚から生まれた12歳の日本人女児で、進行性の重度小頭症と多指症・低身長を示した。著明なリンパ球減少と免疫グロブリン低下を伴う複合型免疫不全を呈し、幼児期から慢性感染症を繰り返していた。患者リンパ球は、染色体核型は46,XXで正常だが、放射線照射後に染色体分体型のギヤップおよび断裂などの構造異常が多発し、ナイミーヘン症候群と同程度に放射線高感受性を示した。しかしながら鳥様顔貌は見られずNBS1遺伝子に変異を認めなかった。以上から新しいタイプのナイミーヘン症候群バリアントと診断した。その後、女児は悪性リンパ腫を発症し、本疾患が高発癌性遺伝病であることが強く疑われた。本研究は患者不死化線維芽細胞株を樹立して、本疾患の病因を解明することを目的としている。本研究により以下の点を明らかにした。 1.患者皮膚線維芽細胞に、テロメア触媒サブユニットhTERTをレトロウイルスベクターで導入し、SV40ウイルスを感染させて不死化細胞株を樹立した。得られた不死化細胞株について、コロニー形成法で放射線感受性をアッセイした。患者細胞はナイミーヘン症候群細胞と同程度の放射線致死感受性を示すことが確認された。 2.NBS1に関連する各種DNA修復蛋白について、ウエスタンブロット法で異常の有無を検索した。NBS1ならびにその複合体のサブユニットであるhMRE11とhRAD50の発現あるいは蛋白サイズに異常を認めなかった。さらに、免疫染色法によるDNA修復蛋白の核内フォーカスを観察したが、いずれも正常に核内フォーカスを形成することが確認された。 3.現在、原因染色体の特定を目的にヒト染色体ライブラリーを移入して機能的試験を進めている。今後の機能的相補性試験による遺伝子マッピングが期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hama, S.: "p16 Gene transfer increases cell killing with abnormal nucleation after ionising radiation in glioma cells."Br.J.Cancer. 89. 1802-1811 (2003)
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[Publications] Matsuura, S.: "Nijmegen breakage syndrome and DNA double strand break repair by NBS1 complex."Advances in Biophys.. (in press).