2003 Fiscal Year Annual Research Report
病理標本におけるタンパク質発現動態からの分子病態解析の試み
Project/Area Number |
15659088
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 修一 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (00243931)
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
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Keywords | 病理標本 / プロテオーム解析 / 遺伝子解析 / 発癌 / 肺腺がん / 異型線腫様過形成 / II型肺胞上皮細胞 / 培養肺腫瘍細胞 |
Research Abstract |
従来の「遺伝子解析」に加え、病態に根ざしたタンパクの発現プロファイルを、新たな病理診断へ応用可能かどうかを検証するため、臨床病理学的、ならびに実験病理学的な検討にあたった。まず、材料として末梢型肺腺がん症例の手術標本採取し、原発巣を中心に前後4シm厚で全割し病理組織学的解析(病理診断の確定と形態学的変化の客観化)を行った。そのうち、採取21症例の13症例(約62%)に前癌病変としての意義が注目されつつあるAAH(Atypical Adenomattous Hyperplasia)を認めた(軽度異型45:高度異型20)。これら軽度異型、高度異型各群では、病巣径(1.7vs3.7mm)、最大核体径(7.22vs8.20シm)、核面積(28.23vs36.01シm2)と有意差を認めた。ただし、分化度、病理病期、細胞亜系の各因子とAAHの発生率、異型度について有意差は認めていない。これらの細胞起源について解析したところ、II型肺胞上皮細胞ないしその前駆細胞からの由来が示唆された。次年度は、II型肺胞上皮細胞からの癌化を前提として、病理標本でのタンパク発現のプロファイルの変化検証を二次元電気泳動により行い、病理組織学的判断に基づいたデータとのすり合わせに着手したい。また相違的発現タンパクについてはその同定と前癌化、癌化に伴う遺伝子変異の有無についての解析にあたりたい。また、腫瘍としての特徴が比較的明らかである培養肺腫瘍細胞を用いて、診断に使用可能なマーカー探索(泳動条件等の検討)を試み、その条件におけるプロテオーム解析が診断に応用への実現性を検証したい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakamura K, et al.: "Simulated microgravity culture system for a 3-D carcinoma tissue model."BioTechniques. 33(5). 1068-1076 (2002)
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[Publications] Arima H, et al.: "Detection of angiotensin-converting enzyme gene insertion/deletion polymorphism from paraffin-embedded tissues -The Hisayama Study-."Circ J. 66(11). 1034-1036 (2002)