2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロバイオティクスによる緑膿菌敗血症の予防効果の検討
Project/Area Number |
15659106
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
松本 哲哉 東邦大学, 医学部, 助手 (10256688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 和俊 東邦大学, 医学部, 助教授 (20196447)
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Keywords | プロバイオティクス / 緑膿菌 / 敗血症 / Bacterial translocation / Bifidobacterium |
Research Abstract |
さまざまな種類の耐性菌の出現により,感染症に抗菌薬のみを用いて対抗することは,今後より困難になるものと想定される.そこで本研究は近年盛んに研究されるようになったプロバイオティクスについて,感染症,特に免疫不全状態における日和見感染症に対する応用を検討したものである.ヒトへの応用を視野に入れて,市販の食品に応用されているビフィズス菌を用いた.また起因菌が腸管よりbacterial translocationを起こして敗血症に至る病態を,マウスを用いて再現した緑膿菌内因性敗血症モデルを用いて検討を行った。緑膿菌を腸管内に定着させたマウスにサイクロホスファマイドを投与し免疫抑制状態とすると、腸管内に定着した緑膿菌がtranslocationを起こして肝臓および腸間膜リンパ節に到達し,さらに全身性に菌が巡り敗血症が惹起された。この実験系を用いて,まずBifidobacterium longum BB536,およびB. breve ATCC15700の各菌株を生食に懸濁させ,経口ゾンデを用いてマウスに1日1回,10日間投与した.その検討の結果,マウスの生存率に関してはB. longum BB536投与群は,B. breve投与群および生食のみの対象群と比べて有意な生存率の上昇を示した。肝臓および血液内の菌数はB. longum BB536投与群で有意に低下していた。さらに防御に至ったメカニズムを検討する目的で便中の緑膿菌の菌数を測定したが,グループ間の有意差は認めなかった.しかし消化管の部位別に緑膿菌数を検討したところ,上部消化管,特に空腸でBB536投与群において緑膿菌数の有意な低下を認めた.これらの結果から,B. longum BB536は上部消化管の緑膿菌を抑制することで,腸管由来の緑膿菌性敗血症に対する防御効果を有することが示唆された.
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