Research Abstract |
ビジネス分野の一般モデルでは8つの群の75のコンピテンシーが考えられている.例えば,自己の成熟性,変化行動・意思決定,組織・チームワーク,戦略・思考,情報,リーダーなどの群である.自己の成熟生の中には冷静さ,誠実さ,几帳面さ,慎重さなど10のサブカテゴリが含まれている.こうした一般モデルが医療従事者のモデルにそのまま適応可能かどうか検証することを本研究の初年度の目的とした. 方法として行動結果面接法を用いて,現場の薬剤師に対し面接,結果分析を行った.対照とした薬剤師は石川県薬剤師会,金沢大学附属病院薬剤部,石川県病院薬剤師会所属の薬局薬剤師10名,病院薬剤師5名である.得られたイベントは112,行動事例は628を抽出・解析し,初期カテゴリ126を得て,3階層の分類により,コアカテゴリ11,カテゴリ18,サブカテゴリ41に分類できた.イベントおよび行動事例の件数について薬局薬剤師と病院薬剤師の間に差は無かった.現在,薬剤師の経験年数,それぞれのイベントの対象を薬剤師,コメディカルスタッフ,患者・家族などに分けて解析中である(日本薬学会第124年会・大阪にて発表予定). 一方,e-learningシステムを構築し,本学部3年生の医療薬学情報演習において用い,対面教育をサポートするcombined learning(予習・復習など補助教材の提示,演習結果のディスカッションなど)の有用性を確認した.今後,上記の薬剤師が過去,実際に行った思考,行動をデータベース化し,実務で必要とされるまたは過誤を減少させる行動要素・コンピテンシーを抽出し,各要素の重要度を評価する.評価基準,行動基準,組織診断,個人の行動の質(スキル)測定,スキルの向上,ノウハウやコツの共有化,目標達成行動力・問題解決力を創り出す能力,自己を管理する能力など各種モデル化された行動を用い,新人薬剤師や学生のためのカリキュラム(習得経過検査票,面接指導法など)およびe-learningシステムの展開を計り,その有効性を検証する.
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