2004 Fiscal Year Annual Research Report
医学教育におけるホルムアルデヒド曝露を低減するためのナノテクノロジーの活用
Project/Area Number |
15659143
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
圓藤 吟史 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20160393)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木山 博資 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00192021)
中島 裕司 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80207795)
吉田 香 甲子園大学, 栄養学部, 助教授 (10336787)
圓藤 陽子 独立行政法人労働者健康福祉機構, 東京労災病院・産業中毒センター, センター長 (50193438)
|
Keywords | ホルムアルデヒド / 医学教育 / 解剖実習 / 光触媒 / ルチル型酸化チタン / 個人曝露濃度 / 尿中ホルムアルデヒド / 刺激症状 |
Research Abstract |
文部科学省は、学校環境衛生の基準を2002年に改訂し、環境中ホルムアルデヒド濃度は0.08ppm以下としたが、解剖学実習時におけるホルムアルデヒド(FA)曝露は高濃度で、その基準値を遵守しようとすれば、局所排気装置を設置するなど、大規模な改造が必要とされる。我々は大規模な改造をしないで、FA曝露を軽減する対策として、ナノテクノロジーの活用を検討した。昨年度においては、白金ナノ粒子担持ルチル型酸化チタンをコーティングした白色蛍光灯を光触媒装置として開発し、その有効性をチャンバー実験及び解剖準備室における点灯実験で、光触媒装置の有効性を確認した。 平成16年度においては、シックハウス患者宅に光触媒装置を設置し、その有効性を観察した結果、室内FA濃度の低下に伴った症状の軽快が見られた。また医学部解剖実習室に光触媒装置を設置する準備として、最も高濃度曝露になると想定された遺体取り出し作業時における曝露調査とその作業による自覚症状をアンケートにより調査した。同時に、尿中FA濃度の測定も実施した。遺体取り出し作業は0.81-2.14ppmと高濃度であったが、設置作業は0.1-0.22ppmと低く、実習時には濃度変動が大きいことが推定された。自覚症状は刺激の訴えがあったが、頭痛、悪心、眩暈などの訴えは皆無であった。刺激の訴え率には差があり、高濃度作業者においては、眼の刺激は80%を越えていたが、低濃度では40%であった。作業終了5時間後における尿中濃度は作業前に比べ有意に上昇していたが、個人曝露濃度との相関は見られなかった。以上の如く、患者宅においても光触媒の有効性が確認されたこと及び濃度により訴え率の低下が見られたが、尿中濃度ではモニターできないと考えられたので、解剖実習室においては刺激の訴えを指標として光触媒装置を設置することが望ましいと考えられた。
|
Research Products
(5 results)