2004 Fiscal Year Annual Research Report
人体試料中薬毒物の超高感度分析のための大容量試料注入GC/MS装置の開発
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15659154
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 修 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 教授 (70093044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 加奈子 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 助教授 (70288546)
野澤 秀樹 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 助手 (40313944)
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Keywords | 薬毒物分析 / GC / MS装置 / 大容量注入法 / スイッチングバルブ / ヘッドスペース法(HS) / 有機溶媒注入 / 難揮発性物質 / 装置の自動化 |
Research Abstract |
平成15年度には、既に当教室に装置されているGC/MS装置(島津製作所製、GC/MS-QP50550A)を改変し、シャフト付きスイッチングバルブをオーブン内に取り付けた。平成16年度の研究実績は以下のとおりである。 1)血中ナフタレンのヘッドスペース(HS)抽出による分析:ナフタレンは単純な構造を有し、EIマススペクトルでm/z128に基準ピークを与え、有機物質の分析モデル実験に使用するのに最適である。しかもオーブン温度50℃でHSガス中のナフタレンを低温オーブントラッピングを用いる事なく、全量カラム内に捕捉できる事を確認した。全血中でのナフタレンが血球膜の脂質に容易に溶け込む事から、HS法による抽出効率は良好ではなく、1mLのHSガスを従来法で注入した検出限界が100ng/mL程度であったのに対し、本システムでは感度を約5倍上げる事に成功した。 2)ナフタレンのアセトニトリル溶液の大容量注入の試み:上記の実験は目的物質を含む大量のガスを注入するものであった。次の目標はやはり目的物質を含む大量の有機溶媒液を注入可能にする事である。通常のGCでは1〜2μLの溶媒液を注入しているが、できる事なら10〜100μLを注入し、そこに含まれている目的物質全量をMSに導入するのが理想的である。これによりバイアル中の目的物質を効率良くGCに注入する事となり、その分感度が上昇するはずである。まず100ng/mLのアセトニトリル溶液を調整し、溶液の5,10,20,50μLをそれぞれ注入する事を試みた。10μL程度までは問題ないが、それ以上の量では、注入口内とカラム内の気圧が極度に上昇し、接続部分から気体の漏れが生じ始めることが判明した。しかし10μL注入でも従来法に比べて5〜10倍量を注入する事ができ、感度はその分上昇した。現在血中にナフタレンを添加し、シクロヘキサンで液-液抽出した有機層を用いて同様の実験を行いつつある。 3)本システムの短所:GCカラムを交換する度にスイッチングバルブを付け替え、フェラールを適当な圧力で絞め直し、各接続部分からの気体の漏れを完全に防止しなくてはならないが、それに慣れるまで技術面で多少時間を要する。スイッチングバルブからのMS導入部分にかけて、少しでも死腔が生じると、検出ピークの立ち上がり部分がブロードになり、測定不能となってしまう。 4)短所克服への試み:以上の装置は全て手作りで操作も全てマニュアルで行わなければいけない。好結果、特に再現性を良くするためにバルブの切り替えを自動的にできる装置を開発する必要があり、今後の課題である。
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Research Products
(5 results)