2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝細胞移植マウスにおけるHCV感染によるキャリア化と肝炎の誘導
Project/Area Number |
15659171
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石原 浩人 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 助手 (10325160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 祥一 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 助手
茶山 一彰 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00211376)
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Keywords | uPA / scidマウス / キメラマウス / C型肝炎ウィルス |
Research Abstract |
[目的]ウイルスの生物学的特性の研究や抗ウイルス薬の開発には小動物を用いた感染モデルが必須である。しかしC型肝炎ウィルス(HCV)はヒトおよびチンパンジーのみに感染可能なため、小動物を用いた感染モデルは確立していない。我々はヒト肝細胞をuPA/scid mouseに移植してhuman hepatocyte chimeric mice(以下キメラマウス)を作製し,HCVを感染させることにより肝炎ウイルスキャリア動物モデルの開発を行った。 [方法]戻し交配により得られたuPA/scid mouse(2〜6週齢)に対して,生後9ヶ月のヒト肝細胞を経脾的に移植しキメラマウスが作製された。キメラマウスのヒト肝細胞置換率(以下キメラ率)は肝組織のサイトケラチン8/18による免疫染色およびマウス血中ヒトアルブミン濃度により算出した。キメラ率0.1〜80%のマウスに,HCV陽性患者血清を頚静脈より接種した。接種後2週間ごとに採血し,RT nested-PCRで感染成立を検討した。また,real-time PCRでそれぞれのウイルス量を定量的に測定した。 [成績]キメラ率が20%未満ではウイルス血症の確認は困難であった。キメラ率30%以上のマウスでは非凍結血清の接種後2週目よりHCV感染成立および持続感染が確認され、10^4-10^6copy/mlのウイルス血症が最長10週間持続した。凍結保存した血清では同様のキメラ率のマウスに接種した場合でも,感染性が失われることもあり,検体保存に注意を要した。 [結語]ヒト肝細胞キメラマウスを用いてHCVキャリアマウスモデルを作製した。肝炎ウイルス複製メカニズムの検討や薬物治療における効果の評価など応用範囲の広いモデルとなることが期待される。
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