2003 Fiscal Year Annual Research Report
カソードルミネッセンスを用いた蛍光SEM法の腎組識への応用
Project/Area Number |
15659201
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
清水 不二雄 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40012728)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 一衛 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20272817)
小池 廣子 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90323964)
牛木 辰男 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40184999)
大久保 総一朗 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (20301856)
|
Keywords | 陰極蛍光(カソードルミネッセンス) / 蛍光走査電子顕微鏡法 / FITC / 蛍光色素 / スリット膜関連分子 |
Research Abstract |
電子線が試料に照射された際に、微弱な陰極蛍光(カソードルミネッセンス:CL)が発せられることが知られており、CLを生物研究の分野でもちいた過去の報告には、馬杉腎炎を惹起した腎臓に蛍光免疫染色をした標本のCL像を観察したとの報告がある。そこで今年度は、低真空SEMにCL検出器を組み合わせたバイオ蛍光SEMをもちいてウサギ抗糸球体基底膜抗体により蛍光免疫染色を施したラットの腎臓のCL像の観察を試みた。蛍光色素には過去の報告で使われたFITCを用いた。その結果、一般の蛍光顕微鏡では染色された基底膜の蛍光像が観察されたが、バイオ蛍光SEMによるCL像の観察では、基底膜がCLを発している像を観察することができなかった。我々のほかの実験結果からも、既存の蛍光色素は単体ではそのCL観察は可能であるが、生物試料に免疫染色した場合は、蛍光色素からのCL像が観察されず、生物試料の持つ固有のCL像が観察されることが判明した。この原因としては、蛍光色素のCL強度が生物固有のCL強度に比べて十分な強度を持たない、または蛍光色素は生体自体に比べて、電子線の照射によるダメージを受けやすいなどの可能性が考えられた。以上の結果から、免疫染色した標本のCL像を観察する場合には、標識色素として生体自体のCLをはるかに上まわる強度のCLを発する電子線に対して安定な色素が必要になると考えられた。来年度には、このようなCL観察に適した色素の探索を行い、その色素を用いて免疫染色する方法の樹立を目指し、この方法を樹立することで、特定の蛋白質などの物質の機能と組織の構造との関連の解析を実現させたい。 また実施計画に予定されたスリット膜関連諸分子(ネフリン、ポドシンなど)に対するウサギ多クローン抗体の作製には成功している。
|
Research Products
(12 results)
-
[Publications] Kawachi H.: "Cloning of rat homologue of podocin : Expression in proteinuric states and in developing glomeruli."J Am Soc Nephrol. 14. 46-56 (2003)
-
[Publications] Saito A.: "Role of megalin in endocytosis of advanced glycation end products: Implications for a novel protein binding to both megalin and advanced glycation end products."J Am Soc Nephrol. 14. 1123-1131 (2003)
-
[Publications] Saito A.: "Bioengineered implantation of megalin-expressing cells : A potential intracorporeal therapeutic model for uremic toxin protein clearance in renal failure."J Am Soc Nephrol.. 14. 2025-2032 (2003)
-
[Publications] Narita I.: "Genetic polymorphism of NPHS1 modifies the clinical manifestations of Ig A nephropathy."Lab Invest.. 83. 1193-1200 (2003)
-
[Publications] Kriz W.: "Pathways to recovery and loss of nephrons in anti-Thy-1 nephritis."J Am Soc Nephrol.. 14. 1904-1926 (2003)
-
[Publications] Peters H.: "Moderate alcohol intake has no impact on acute and chronic progressive_anti-Thy-1 glomerulonephritis."Am J Physiol Renal Physiol.. 284. 1105-1114 (2003)
-
[Publications] Kanno K.: "Urinary sediment podocalyxin in children with glomerular diseases."Nephron Clin Pract.. 95. 91-99 (2003)
-
[Publications] Han GD.: "IFN-inducible protein-10 has a differential role in podocyte during Thy 1.1 glomerulonephritis"J Am Soc Nephrol.. 14. 3111-3126 (2003)
-
[Publications] 清水不二雄: "蛋白尿:その成因と腎障害機序"腎と透析. 54. 181-182 (2003)
-
[Publications] 清水不二雄: "《糸球体疾患》先天性ネフローゼ症候群"内科. 92. 9-12 (2003)
-
[Publications] 清水不二雄: "蛋白尿発現の分子機構:ネフリンのネフローゼ症候群における臨床的意義"日本内科学会誌. 92. 159-165 (2003)
-
[Publications] 清水不二雄: "ポドサイト研究の最近の動向と今後の展望"腎と透析. 55. 691-695 (2003)