2003 Fiscal Year Annual Research Report
マウスES細胞由来ドーパミン神経細胞のMPTPパーキンソン病モデルサルへの移植
Project/Area Number |
15659212
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Utano National Hospital |
Principal Investigator |
久野 貞子 独立行政法人国立病院機構, 宇多野病院, 臨床研究部長 (70344348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 英二 独立行政法人国立病院機構, 宇多野病院, 神経内科医師
岩下 靖史 独立行政法人国立病院機構, 宇多野病院, リハビリテーション科医長
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Keywords | マウス胎生幹細胞 / ドーパミン産生細胞 / MPTP誘発サルモデル / 移植 |
Research Abstract |
【目的】マウスの胎生幹細胞由来のドーパミン産生細胞をヒトパーキンソン病に最も近いMPTP誘発サルモデルの線条体に移植し、その効果と安全性を検討する。 【方法】カニクイサルにMPTP0.5mg/kgを1週ごとに繰り返し皮下注射し、振戦・無動など3ヶ月以上安定したパーキンソン病症状を示すモデルを作成した。モデルサル1頭に対して、ケタミン麻酔下に、左線条体内にマウスES胎生幹細胞由来ドーパミン産生細胞を定位的に10万個×3箇所移植した。手術後はシクロスポリン10mg/kg皮下注射を1ヶ月継続した。手術後6ヶ月以上行動観察した。 【結果】手術後、新たな麻痺や不随意運動などの問題症状の出現は見られなかった。パーキンソン病モデル動物に見られる振戦、無動などの各症状とも移植直後、移植6ヵ月後とも有意と考えられる改善は見られなかった。 【考察】手術後、新たな麻痺や不随意運動の出現を見ないことより、手術手技そのものの問題は無いと考えられる。運動症状の改善が見られないことは、いくつかの可能性を考慮しなければならない。移植した細胞数は適切であったか。移植部位は適切であったか。今回は異種移植であるため、免疫抑制剤の使用が適切であったか。など、いくつか問題点が残っている。今後、移植細胞がどの程度生着しているか、ドーパミン産生機能を維持しているかなど、病理学的・生化学的検討が必要と考えられる。動物数を増やし、検討を続ける予定である。
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