2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝インスリンシグナルの個体糖脂質代謝における役割-ノックダウン法を用いての解析-
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15659214
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片桐 秀樹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00344664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和眞 東北大学, 病院・助手 (60292215)
石垣 泰 東北大学, 病院・助手 (50375002)
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Keywords | RNA干渉 / 肝細胞 / ノックダウン法 |
Research Abstract |
最近、植物や線虫等で見出されていたRNA interferenceと呼ばれる現象が哺乳類細胞でも確認され、特異的に蛋白の発現を抑制する手法として、注目されつつある。目的の蛋白のmRNA配列の一部(20塩基前後)に匹敵する2本鎖RNA (siRNA)を細胞内に導入することで、その蛋白の発現をほぼ完全に抑制することができるというものである。そこで、この技術を用いて、肝細胞におけるインスリンシグナルの抑制が、個体全身における糖代謝の恒常性維持にどのような役割を果たしているか、解明することを目的として、以下の実験を行った。 adenovirusにこのsiRNAを発現するカセットを組み込み、マウスに静注することで肝臓におけるインスリン受容体の発現を抑制することにより、急性に肝臓のインスリンシグナルが減弱した場合、全身の糖代謝にどのような影響を及ぼすか検討した。が、そこで、効果的に遺伝子発現抑制を起こすsiRNAベクターの開発を試みた。昨年、10種類のベクターを作製し、その中で最も強力に抑制するベクターを選択した。本年は、これを実際にマウス個体に投与したところ、肝におけるインスリン受容体の発現は有意に抑制され、約1週間で肝臓の重量は著明に縮小を示した。血中インスリン濃度は約2倍に上昇し、肝におけるインスリンシグナルの低下に代償的に増加したものと考えられた。一方、空腹時血糖値は有意差を認めず、経静脈的糖負荷後の血糖曲線も、変化を認めなかった。 これらより、肝におけるインスリン受容体シグナルの突然の遮断が生じ、肝重量の低下を招いても、糖代謝は、インスリン分泌の亢進により代償しうることが示された。
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Research Products
(6 results)