2003 Fiscal Year Annual Research Report
培養巨核球からの血小板産生に及ぼすNadrinノックダウンの影響
Project/Area Number |
15659233
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
山本 正雅 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (50150884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 英紀 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (30158977)
梅田 真郷 京都大学, 化学研究所, 教授 (10185069)
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Keywords | Nadrin / GTPase / Rho / PDZドメイン / ノックダウン / RNAi |
Research Abstract |
Nadrinは低分子量G蛋白質Rhoファミリーに対するGTPase活性促進蛋白質(RhoGAP)であり、神経伝達物質の放出や神経突起の伸長に関与する。またNadrinのcDNAには2箇所の挿入配列があり、Nadrin102、Nadrin104、Nadrin116、Nadrin126の4種類のスプライシングアイソフォームがある。これらの構造上の違いはNadrin116とNadrin126には2つのPEST配列を含む領域があり、Nadrin104とNadrin126のみがC末端にPDZドメイン結合モチーフをもち機能の違いを反映していると予想される。各アイソフォームの役割を明らかにするため巨核球・血小板だけでなく生体内での発現部位を調べた。挿入配列の位置と長さから各アイソフォームのmRNAを見分けるのは難しいと予想された。そこで、C末端特異的な配列に対する抗体C1、C2を作製した。C1はNadrin102とNadrin116のみを、C2はNadrin102とNadrin116のみを認識した。同じ抗体で検出される2つのアイソフォームは分子量の違いによりイムノブロットで明確に区別でき、4つのアイソフォーム全てを確実に見分ける実験系ができた。そこで各臓器のホモジネートを作製し、C1,C2を用いたイムノブロットによりNadrinを検出した。その結果、Nadrin126は発現量に違いはあるが調べた臓器全てに検出された。Nadrin104は胸腺、脾臓、肺、腎臓に強い発現が見られた。Nadrin102、Nadrin116は胸腺、脾臓、副腎でのみ検出された。Nadrinはアイソフォームごとに発現部位に違いがあり、生体内で異なる役割を担っていると考えられた。とくに血小板ではNadrin104が特異的に発現していた。ヒト巨核球培養細胞MEG-01にはNadrin126とNadrin104両者の発現が見られた。TPAでMEG-01を血小板へ分化誘導するとNadrin126の発現の減少が見られた。ノックダウンのRNAi用ベクターの効果を確かめるためにCOS細胞にNadrin104を発現させ効果を調べた。発現量の低下を認めたが完全なノックダウンではなかった。RNAi用ベクターの選択、効果的なRNAの場所の設定などを検討する必要があると考えられた。
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