2003 Fiscal Year Annual Research Report
心臓発生において左心室の特異的な分化および形態形成を制御する分子機構の解明
Project/Area Number |
15659250
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
仲澤 麻紀 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10317183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 敬幸 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40255500)
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Keywords | 心臓発生 / 左心室特異的遺伝子 / Hand1 / Tbx5 |
Research Abstract |
本研究の目的は、心臓発生において左心室の特異的な分化および形態形成を制御する分子機構を明らかにすることである。具体的には、マウス胎仔の左心室形成において発現する遺伝子と、右心室形成において発現する遺伝子の発現量を比較することにより、左心室分化・形成に特異的に機能する分子を同定する。本年度はまず、野生型マウスを交配し、左右心室の分化・形態形成が最も盛んである時期、すなわち胎生11.5日から12.5日の胎仔を妊娠マウスから取り出し、発生中の心臓を切り出し、左心室原基および右心室原基を分離して摘出した。摘出した左心室および右心室原基の組織から、それぞれRNAを抽出した。約15回の交配により約100胎仔を収穫し、10-20μgの右心室および左心室RNAを抽出することに成功した。さらに抽出したRNAを酵素、有機溶媒を用いた処理により純化した。胎生11.5~12.5日の左心室原基に特異的に発現する遺伝子をスクリーニングするために、左心室原基からの純化RNAをテスターサンプル、右心室原基からの純化RNAをドライバーサンプルとして、サブトラクション・ハイブリダイゼーション法を行った。第一次スクリーニングで約70の陽性クローンが得られ、バイオインフォマティックス(遺伝子データベース)を利用することにより、すでに左心室原基に優位に発現することが知られている転写因子であるHand1、Tbx5、および未だ発現や機能について解析されていない遺伝子を含め、約10の興味深い分子が特定された。発現・機能が未知の分子について、今後ディフェレンシャル・ディスプレイ法、バーチャル・ノザン法、マウス胎仔を用いたin situ hybridization法を適用し、確実に左心室分化・形成に特異的なクローンを選別する必要がある。
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