2004 Fiscal Year Annual Research Report
極低出生体重児の栄養と性腺機能のプログラミングに関する研究
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15659254
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
板橋 家頭夫 昭和大学, 医学部, 教授 (00223074)
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Keywords | 性腺機能 / プログラミング / 胎児環境 / 臍帯血 / 早産児 / インヒビンA / インヒビンB |
Research Abstract |
<方法>血清インヒビンAとインヒビンBを(1)臍帯血と(2)月齢1〜24の児(フォローアップ)で測定した。測定にはTwo-site ELISA法を用いた(キットはACTIVE InhininA ELISA、ACTIVE InhininB ELISAを用いた)。調査項目は、臍帯血では在胎週数、出生体重(SDスコア)、胎盤重量、検体採取時の月齢、検体採取時の体重、採取時修正月齢の標準体重に対するSDスコアとした。 <結果>(1)臍帯血:男児26検体、女児38検体を測定した。男児は平均在胎週数39.1±1.0週、出生体重3140±450g、女児は平均在胎週数39.5±1.2週、出生体重2967±361gであった。インヒビンAは男児26検体中23検体、女児38検体中25検体が測定感度以下で男女差を認めなかった。インヒビンBは男児70.4±35pg/ml、女児41.1±28.8pg/mlであり男児で有意に高値であった。在胎週数、出生体重、出生体重のSDスコア、胎盤重量との相関はインヒビンAとインヒビンBのどちらにおいても認めなかった。(2)フォローアップ:男児33検体、女児41検体を測定した。男児は平均在胎週数33.2±124週、出生体重1635±712g、女児は平均在胎週数32.9±124週、出生体重1513±564gであった。解析はインヒビンAおよびインヒビンBを従属変数、在胎週数、出生体重(SDスコア)、検体採取時の月齢、検体採取時の体重、採取時修正月齢の標準体重に対するSDスコアを独立変数としてステップワイズ重回帰分析を行った。インヒビンAはインヒビンBに比して低値であり上記の各項目との関連は男児、女児共に認めなかった。男児インヒビンBは採取月齢と(標準化係数=-0.383、p=0.019)、出生時体重のSDスコア(標準化係数=0.363、P=0.025)と関連があった。女児インヒビンBは関連を認めなかった。 <考察>臍帯血においてインヒビンAは男女差を認めないがインヒビンBは男女差が存在し、インヒビンBが胎児期から精巣で分泌されているというこれまでの報告を支持する結果であった。また、臍帯血のインヒビンA、Bの値は出生体重のSDスコア、胎盤重量と相関を認めなかったが、出生後24ヶ月までの男児インヒビンBの値が出生体重のSDスコアが低いと低値をとることから、男児インヒビンBは子宮内環境の影響を受けている可能性があると推測された。
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