2005 Fiscal Year Annual Research Report
極低出生体重児の栄養と性腺機能のプログラミングに関する研究
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15659254
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
板橋 家頭夫 昭和大学, 医学部, 教授 (00223074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 隆成 昭和大学, 医学部, 助手 (60384450)
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Keywords | インヒビンA / インヒビンB / 低出生体重児 / small for gestational age / appropriate for gestational age / プログラミング |
Research Abstract |
目的:Small for gestational age (SGA)児の思春期における性腺機能がappropriate for gestational age (AGA)児より低いとの報告があり、子宮内環境によって性腺機能がプログラミングされている可能性が指摘されている。このような傾向がすでに乳幼児期にも存在しているのかどうかについて検討するために、昭和大学横浜市北部病院および昭和大学病院NICUに入院し生存退院した月齢18以下の児を対象に、血清インヒビンA、インヒビンB値を測定した。 対象と方法:対象の内訳は男児29名(極低出生体重児15名、SGA児14名)、女児23名(極低出生体重児13名、SGA児11名)である。これらの児について、修正月齢18ヵ月までに血清インヒビンAおよびBをELISA法により測定し、子宮内での栄養状態や出生後の成長との関連性を検討した。 結果:(1)血清インヒビンBは男児が女児に比べて高値であり、月齢とともに低下した。(2)血清インヒビンAは多くの症例で男女を問わず感度以下で、また有意な関連性を有する要因は認められなかった。(3)ステップワイズ法による重回帰分析を行ったところ、男児における乳幼児期の血清インヒビンB値に関連する有意な要因として、"修正月齢(標準化係数=-0.513,p=0.03)"および"出生時体重SDスコア(標準化係数=0.331,p=0.04)"があげられ、在胎週数や出生後の成長は有意な要因ではなかった。一方、女児では"修正月齢(標準化係数=-0.524,p=0.01)"のみであった。 結論:本研究により、男児では乳幼児期の血清インヒビンB値は出生体重のSDスコアが小さいほど低値をとることから、子宮内での低栄養によって性腺機能がプログラミングされている可能性が推測された。また乳幼児期の成長とインヒビンB値の関連性がないことから、このプログラミングは生後の栄養によって影響を受ける可能性は少ないのではないかと考えられた。
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Research Products
(1 results)