2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15659289
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
南條 博 秋田大学, 医学部, 講師 (70250892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 弘毅 秋田大学, 医学部, 教授 (60103462)
川村 公一 秋田大学, 医学部, 助教授 (00091801)
高橋 正人 秋田大学, 医学部, 助手 (10315806)
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Keywords | 内膜肥厚 / 動脈 / 血流 / 動脈硬化 / TGF-β1 / MMP2 / MMP14 / TIMP2 |
Research Abstract |
平成16年度の本研究で、血流増大によるリモデリングを惹起させた動脈に生理的短時間の血流減少させることによる内膜肥厚作成に成功し、その機序として、1)血流増減による壁ずり応力の減少、2)血管壁細胞の血行動態変化の感知、3)内皮細胞を介した中膜平滑筋細胞の増殖と遊走の惹起が示唆された。動静脈吻合(AVF)による血流量増大によるリモデリングを惹起させた動脈に内膜肥厚はまったく生じなかった(0mm^2)。しかし、動静脈吻合(AVF)中に生理的かつ一時的な皮膚上から吻合部静脈側のスリルを押さえることによるAVF閉鎖(すなわち血流量は動静脈吻合前に戻る)を1週間1時間ずつ計4回(4時間)行ったところ、薄い弾性線維で囲まれた3-4層の平滑筋層からなる明瞭な動脈内膜肥厚が認められた(0.15±0.05mm^2)。一時的AVF閉鎖中の壁ずり応力は5dynes/cm^2以下だった。血流量減少直後のTGF-β1、MMP2、MMP14、TIMP2 mRNAの動脈における有意な発現をリアルタイムPCR法により証明した(TGF-β1:3.4倍、MMP2:2.1倍、MMP14:2.4倍、TIMP2:2.4倍)。すなわち、生理的短時間の血流減少が血管壁細胞に感知され、おそらく内皮細胞を介して中膜平滑筋細胞に増殖と遊走を惹起し、内膜肥厚が生じたと考えられる。いままでにこれほど短い一過性の血流減少が血管壁細胞に感知されたという報告はない。動脈内膜肥厚は動脈硬化症の基本的な病変であるが、一過性の血流の増減そのものが内膜肥厚の一因となることを証明した。これは血管に障害を与えずに作製された新しいモデルである。動脈硬化症解析の新しい切り口が開けたと考えられる。
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Research Products
(3 results)