2004 Fiscal Year Annual Research Report
小児応用を目指した拡張可能な小口径人工血管開発に関する研究
Project/Area Number |
15659325
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三井 秀也 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00314691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 俊二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50235438)
野一色 泰晴 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60033263)
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Keywords | 人工血管 / 骨髄単核細胞 / 細胞治療 / 培養 |
Research Abstract |
患者骨髄から採取した骨髄液から単核細胞を分離し重症閉塞性動脈硬化患者の虚血筋肉内に注入することにより血管新生を得ることにより側副血行路の造成を得、虚血症状の改善を得る目的の細胞治療プロジェクト(全国TACT-J)を進めている。平成17年3月までの現在までのところ11人に対してこの治療法を行ったが、これらの細胞の一部は、患者様の許諾をいただき冷凍保存(-80度)されている。この細胞を使用し、この研究に使用した。 (方法)解凍した単核細胞10^8個を自己10%血性培地の培養液内で培養し、T75フラスコ内でconfruentとなったところで、トリプシン処理後血清内に浮遊液5ccを作成した。この細胞浮遊液を、野一色らの方法によりePTFE人工血管(太さ6mm)の中に注入し人工血管内腔に細胞を付着させた。この後、この人工血管を、成犬(8匹、体重約8-14kg、雄)の腸骨動脈に置換した。一ヵ月後にこれらの犬から置換人工血管を摘出し内腔を観察した。 (結果)全例において、人工血管は閉塞していた。人工血管内腔は血栓が充満しており器質化していたことから、早期に閉塞したものと考えられた。コントロールとして、骨髄単核細胞を注入しなかった人工血管では、8例のうち3例が閉塞していたが、その他は開存していた。 (考察)骨髄単核細胞を人工血管内に付着させることにより、小口径人工血管の体内へ埋め込んだ後の開存率を向上させる可能性があるのではないかとの考えであったが、反対に閉塞例が多かった。恐らく骨髄単核細胞の人工血管への付着法に問題があったのではないかと考えられた。人工血管への細胞の付着法については、問題なかったと考える(共同実験者の野一色より)。 (今後の展望)異種細胞に対する応答が凝固を亢進させ、人工血管を閉塞させたとも考えられ、今後は犬から骨髄液を採取し、これから単核細胞を分離し実験を継続したいと考えている。小児応用可能な拡張可能な人工血管は必須であると考えるので、是非とも実験は継続したいと考えている。
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