2003 Fiscal Year Annual Research Report
体内埋め込み型および皮膚貫通型医療機器の局所感染防御のための新規被覆材の開発
Project/Area Number |
15659328
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00216996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 章彦 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (20287428)
武輪 能明 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (20332405)
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (00142183)
築谷 朋典 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (00311449)
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Keywords | 埋め込み型人工心臓用被覆材 / 熱可塑性ウレタン / 感染合併症 / 高組織浸潤性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,人工臓器使用のために安全で高いQOLを提供し得る新規被覆材として,被覆材内への組織浸潤に良好な条件を持つ素材の改良を進め,それらについて周囲組織との結合部に加わる余剰な負荷を防ぐために工学的および医学的な側面から被覆材の形状を最適化し,高い坑感染性,組織親和性を賦与した高機能被覆材による人工心臓被覆手法を確立することである. 材料および方法 我々の開発した新規被覆材は,組織刺激性の少ない熱可塑性ウレタンで作成されたシート状多孔体で,体内埋め込み時に生体組織の浸潤性を高めるための約0.2〜1.0mm径の三次元網状構造と素材自体に約50〜100μmの微少孔を有したものである.また本素材は適切な強度と柔軟性を保持し,様々な形状に加工することが容易で,耐久性にも優れている.この被覆素材の生体適合性を検討する目的で,試験片(厚さ約2mm)を作成し,成ヤギに皮下から体外に皮膚を貫通させた状態で留置した.留置された試験片は2週,4週後に摘出し,病理組織学的に検討した.創部は毎日イソジンまたは酸性水を塗布することにより消毒を行った. 結果 ヤギ皮膚組織に4週間留置された被覆材は生体組織と密に接着し,互いの分離は非常に困難であった.組織学的に被覆材内には膠原線維を主体とする結合組織浸潤が良好であり,また表層では再生した表皮組織が被覆材を貫通し.対側の表皮組織に連続していた.イソジン消毒と酸性水消毒による創傷治癒の検討を行ったところ,酸性水を用いた群の方が良好な肉芽形成が認められたが,表層の細菌繁殖はイソジン消毒により明らかに抑制される傾向にあった. まとめ 以上の結果より,新規に開発された被覆材は,体内埋め込み機器および皮膚貫通機器の被覆材として使用するに当たり,良好な組織浸潤性および生体適合性を有する素材であり,人工機器と生体組織を密に接着するのに十分な能力を有していると考えられた.
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