2004 Fiscal Year Annual Research Report
Smacペプチドを用いての悪性グリオーマに対する分子標的治療の研究
Project/Area Number |
15659337
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
甲村 英二 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30225388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 淳史 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00346256)
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Keywords | Smac / DIABO / Apoptosis / 分子標的治療 / 悪性グリオーマ / 治療耐性 |
Research Abstract |
治療耐性悪性グリオーマ細胞ではアポトーシス抑制蛋白が(IAP)増加してアポトーシスが生じにくい。我々はミトコンドリアより放出されるペプチドSmac/DIABLOのN末端4個を含む8アミノ酸残基と細胞膜透過構造を持つペプチドを合成し投与することによってIAPを阻害しアポトーシスを促進させ、治療効果を増強させる試みを行った。まず対象となる樹立悪性グリオーマ培養細胞に対して抗腫瘍剤エトポシドを投与しアポトーシスが誘導される事を確認、更にエトポシド投与の際にミトコンドリア内にあった内因性smacが経時的に減少し、細胞質内に増加すること事を認めた。同様の方法で細胞質内のXIAPを同定した。次に合成したSmacペプチドを投与する事で阻害量を増加させ細胞死を誘導する実験系を構築した。合成ペプチドは投与後6時間後、濃度10μ/mlの条件で効率よく細胞質内に導入されることが判明した。更にペプチド投与6時間後に各種濃度のエトポシドに被曝させ経時的に細胞増殖抑制評価およびCaspase3および9の活性測定によるアポトーシス定量を施行したところ40μ/mlの濃度において有意差5%以下で細胞増殖は抑制され細胞死は有意に促進された。今回、我々の研究により合成ペプチドと既存の抗腫瘍薬エトポシドを併用することで単独療法より有意にアポトーシスを誘導することが判明した。今後、低分子Smac合成ペプチド適切な投与法の開発により悪性神経膠腫に対する斬新な治療法として今後新たな展開が期待される。
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