2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子治療と内在性神経幹細胞活性化による脳梗塞治療の萌芽的研究
Project/Area Number |
15659338
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阿部 康二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20212540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 健 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40314679)
佐藤 圭子 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (20325103)
伊達 勲 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70236785)
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Keywords | 虚血 / 神経細胞死 / アポトーシス / 神経栄養因子 / 遺伝子導入 / リポソーム / 血管内皮 / 脳梗塞治療 |
Research Abstract |
平成15年度は、GDNF (glial cell line-derived neurotrophic factor)遺伝子をクローニングしたのちその遺伝子を組み込んだアデノウイルスを作成、虚血後のラット脳に投与して、GDNFタンパクの発現変化、さらに虚血性障害に与える影響について調べた。その結果、導入したGDNF遺伝子は虚血性障害が加わっている領域にも発現することが確認され、本方法は治療的に応用されうることが示唆された。そこで次にGDNF遺伝子を導入することにより脳梗塞が縮小されるかどうかを検討したところ、lacZ遺伝子導入群に比較しGDNF遺伝子導入群では有意に梗塞体積が少なく、本方法が虚血性障害軽減に有効であることが示された。その機序であるが、GDNF遺伝子導入群は対照群と比較しても血流変化に差はなく、血流の改善によるものとは考えられなかった。TUNEL法やcaspaseの免疫染色の結果からは、GDNF遺伝子導入群においてアポトーシス機序の活性化が抑制されていることが示され、GDNFの抗アポトーシス作用が虚血性障害の軽減に関与しているものと考えられた。 一方、外来遺伝子を虚血組織に効果的に運び入れるための方法の研究であるが、虚血後血管内皮に発現が増加するであろうタンパクとしてトランスフェリン受容体に注目し、その発現変化を虚血後ラット脳にて検索した。すると、このタンパクは虚血後血管内皮にて発現が増加することが判明し、遺伝子導入のために利用しうるタンパクと考えられた。そこでトランスフェリンとconjugateしたliposomeを血管内に投与したところ、このliposomeが効果的に虚血領域に集積することが判明した。本方法を応用することで、外来遺伝子を虚血組織に効果的に運び入れることが可能となると考えられた。 これらの研究により、本年度研究の当初目標は達成されたものと考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Jin G, Abe K: "Protection against ischemic brain damage by GDNF affecting cell survival and death signals."Neurological Research. 25(3). 249-253 (2003)
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[Publications] Omori N, Sato K, Abe K: "Targeting of post-ischemic cerebral endothelium in rat by liposomes bearing polyethylene glycol-coupled transferrin."Neurological Research. 25(3). 275-279 (2003)
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[Publications] Iwai M, Sato K, Abe K: "Temporal profile of stem cell division, migration, and differentiation from subventricular zone to olfactory bulb after transient forebrain ischemia in gerbils."Journal of Cerebral Blood Flow and Metabolism. 23(3). 331-341 (2003)
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[Publications] Ohta K, Sato K, Abe K: "Dissociative increase of oligodendrocyte progenitor cells between young and aged rats after transient cerebral ischemia."Neuroscience Letters. 335(3). 159-162 (2003)
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[Publications] Kamada H, Sato K, Abe K: "Spatiotemporal changes of apolipoprotein E immunoreactivity and apolipoprotein E mRNA expression after transient middle cerebral artery occlusion in rat brain."Journal of Neuroscience Research. 73(4). 545-556 (2003)
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[Publications] Li F, Sato K, Abe K: "Cooperative expression of survival p-ERK and p-Akt signals in rat brain neurons after transient MCAO."Brain Research. 962(1-2). 21-26 (2003)
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[Publications] Abe K (ed): "Molecular Mechanism and Epochal Therapeutics of Ischemic Stroke and Dementia"Excerpta Medica. 506 (2003)