2004 Fiscal Year Annual Research Report
ラット脊髄損傷モデルに対する骨髄間質細胞由来シュワン細胞移植の有用性の検討
Project/Area Number |
15659346
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山崎 正志 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50281712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河 昭彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30312945)
出澤 真里 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50272323)
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Keywords | 脊髄損傷 / 骨髄間質細胞 / Schwann細胞 |
Research Abstract |
[目的]骨髄間質細胞をin vitroでSchwann細胞に分化させた細胞(骨髄間質細胞由来Schwann細胞:Dezawa, Eur J Neurosci, 2001)をラット脊髄損傷モデルに移植し、その効果につき検討すること。 [方法]1)成ラット大腿骨より骨髄を採取し付着性細胞を培養して、骨髄間質細胞を得た。 2)1)の細胞をβ-メルカプトエタノール処理した後、all-transレチノイン酸を3日間加え、さらにフォルスコリン、bFGF,PDGF-AA,heregulinβ-1を加え1週間培養し、骨髄間質細胞由来Schwann細胞が得られた。 3)ラット脊髄損傷モデルを作成した。8週齢雄Wistarラットを全身麻酔下に第7・第8胸椎椎弓切除し、その部分で脊髄を約4mm長の欠損ができるように切断して、脊髄完全損傷モデルとした。 4)限外濾過膜を直径約2.2mm、5mm長の円筒形に成型したチューブに、骨髄間質細胞由来Schwann細胞をMatrigelに混和したものまたはMatrigelのみをそれぞれ充填し、脊髄欠損部に架橋状に移植した。 5)移植後時間経過を追って、BBB locomotor scale (Basso et al. 1995)を用いて行動学的評価を行った。 6)組織標本につき各種線維に対する抗体を用いた免疫染色にて移植したチューブ内への軸索の伸展を評価した。 8)行動学的評価・組織学的評価につき両群間で比較し、骨髄間質細胞由来シュワン細胞の脊髄損傷モデルに対する有効性を検討した。 [結果]骨髄間質細胞由来Schwann細胞を移植した群では移植後5週(損傷後6週)の時点で平均スコアが約7点と、コントロールの平均スコア3点と比較して有意な回復が観察された。免疫染色ではneurofilament陽性の神経線維が骨髄間質細胞由来Schwann細胞移植群でチューブ内に多く見られた。Tyrosine hydroxylase陽性の下降性線維が骨髄間質細胞由来Schwann細胞移植群でチューブ内に多く見られた。Serotonin陽性線維数calcitonin gene related peptide陽性線維数は両群間で有意差がなかった。また、骨髄間質細胞由来Schwann細胞移植群で機能回復が見られたもののうち2匹に対し、移植後5週時、移植チューブの再切断を行ったところ、回復した機能はすべて失われその後も回復しなかった。 [考察]骨髄間質細胞由来Schwann細胞移植は軸索再生を促進し、後肢機能を有意に回復させた。骨髄間質細胞由来Schwann細胞は、採取の容易さ・自己移植可能であることなどから、脊髄損傷に対する細胞治療の細胞ソースの候補として有望である。
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Research Products
(6 results)