2003 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス合金の骨接合材料への応用に関する実験的研究
Project/Area Number |
15659350
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 五三男 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70311628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塙 隆夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター, 副センター長 (90142736)
佐藤 和強 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50302691)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
廣本 祥子 物質・材料研究機構, 材料研究所, 研究員 (00343880)
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Keywords | 生体金属材料 / 骨接合材料 / アモルファス合金 |
Research Abstract |
径2mm、長さ35mmのジルコニア基アモルファス合金(ZrAlNiCu)を物質・材料研究機構にて作成した。このアモルファス合金および径2mm、長さ35mmのチタン合金(Ti6A14V)を東京大学医学部整形外科にて14週齢オスWistar系ラットの大腿骨骨幹部骨折モデルの骨髄内にそれぞれ16匹、12週間挿入した。 アモルファス合金の生体への影響の評価として、末梢血および周辺軟部組織を採取し、アモルファス合金の組成のうち毒性を示す可能性のある銅、ニッケルについて血中および組織中の金属イオンの定量を行った。アモルファス合金挿入群の銅、ニッケルの血中金属濃度および組織中金属含有量はいずれもチタン合金挿入群と比較して増加していなかった。この結果は、アモルファス合金成分の溶出による影響が少なく、安全に使用できる可能性を示唆している。 また、骨折部の骨形成・骨癒合の定量評価を軟X線写真、pQCT、ねじり試験にて評価した。軟X線写真(N=16)で完全な骨癒合が得られたものはアモルファス合金群5匹、チタン合金群3匹であった。pQCT(N=7)では、骨折部の骨強度指標(Strength Strain Index)はアモルファス合金群21.5±5.6(平均±標準偏差)、チタン合金群15.7±9.6であった。ねじり試験(N=6)では、大腿骨の破断トルクはアモルファス合金群0.34±0.19Nm、チタン合金群0.18±0.16Nm、ねじり剛性はアモルファス合金群0.044±0.035Nm/°、チタン合金群0.020±0.021Nm/°、エネルギー吸収はアモルファス合金群2.2±2.2Nm°、チタン合金群1.0±0.9Nm°であった。アモルファス合金群はチタン合金群と比較して骨折部の骨癒合が旺盛に起こり、骨癒合部の強度、ねじり剛性、エネルギー吸収が大きい傾向があった。
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