2005 Fiscal Year Annual Research Report
摘出脳幹三叉神経標本を用いた頭頸部痛覚神経情報処理機構の膜電位イメージング解析
Project/Area Number |
15659376
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
栗林 淳也 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40327599)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 泰昌 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80160688)
|
Keywords | 局所麻酔薬 / 延髄 / 脊髄 / 膜電位イメージング / 膜電位感受性色素 / 三叉神経 / 痛覚 / 神経回路綱 |
Research Abstract |
本研究において、平成17年度には、摘出脳幹標本、摘出脊髄標本、スライス標本などのin vitro標本を用い、脳幹〜脊髄に分布する痛覚感知神経網の機構を解析した。また、痛覚と密接な関係を有する(すなわち、痛覚刺激により活動が影響を受ける)呼吸調節機構についても、その生理機能およびそれらに対する局所麻酔薬や低酸素などの影響を、膜電位イメージング法などの方法により解析した。まず、脊髄スライス標本においては、各種の局所麻酔薬(lidocaine, bupivacaine)が後角の痛覚神経回路網機能に及ぼす影響を膜電位イメージング法により解析した。すなわち、若齢ラットより摘出した脊髄から一髄節厚の頚髄スライス標本を作製し、それを蛍光膜電位感受性色素(di-4-ANEPPS)で染色した後、痛覚刺激をシミュレートした後根電気刺激により後角神経回路網に活動を惹起させ、その活動を高速高感度カメラによる膜電位イメージング法により動画像として計測・記録した。本解析により、局所麻酔薬は、後根神経線維に対して直接的な弱い抑制作用を及ぼすが、後角内の痛覚神経回路網におけるシナプス伝達を強く抑制することを明らかにした(Okada et al.2005;Kashiwagi et al.2005)。また、脊髄スライス標本においては、後角(特に第III〜IV層)が低酸素感受性を有する(低酸素によりシナプス伝達効率が低下し神経活動が低下する)ことを明らかにした(Fukuda et al.2006)。これら脊髄レベルでの検討結果をふまえて、現在、延髄内の神経回路網機能に対する各種の薬物の効果について、膜電位イメージング法により解析を行っている。
|