2003 Fiscal Year Annual Research Report
尿路感染症におけるバクテリオファージ療法の基礎的研究および臨床応用
Project/Area Number |
15659382
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
安田 雅春 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (80284446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 茂展 高知大学, 医学部, 助手 (00190439)
谷村 正信 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (90197533)
西川 宏志 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (00335944)
今井 章介 高知大学, 医学部, 教授 (60232592)
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Keywords | 尿路感染症 / バクテリオファージT4 / バクテリオファージ療法 / 新規ファージ / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
尿路感染症治療におけるバクテリオファージの効果について検討した。 当院における尿路感染症患者より、尿路病原性大腸菌23株を分離、保存した。 我々が教室で保存している、各種のバクテリオファージ(T2、T4、T6、T7)を用いて、これらの大腸菌に対する感受性を調べた。尿路病原性大腸菌に対してはT4ファージが最も高感受性を示し、さらにT4ファージは特定の大腸菌ECU-5を最もよく溶菌した。大腸菌株によるマウスの腎盂腎炎モデルにおいて、各種濃度のT4ファージを経腹膜的に接種すると、投与量依存的にマウスの延命効果があることを確認した。また大腸菌ファージT4、黄色ブドウ球菌ファージφMR11を腹腔内投与した時の各主要組織への時間的移行および尿中排泄を調べたところそれぞれ異なった分布を示した。T4ファージは腹腔内投与後24時間は各組織中に10^6pfu/ml以上の高濃度で存在していることが確認された。これに対してφMR11ファージは腹腔内投与後7時間後には急激に濃度が低下していた。またT4ファージはLB培地中では24時間ほぼ変化せず安定であったが、人およびマウスの尿中では24時間後にはすでに失活していることを確認した。 さらに広範囲の大腸菌群に対応させるために、尿路病原性大腸菌12株を宿主として環境水中から8株の新規ファージを分離。この中から各種大腸菌にもっとも溶菌域の広いφA、φEの2株を分離精製し、これらのファージの種の属性および広範囲に溶菌できる機構・構造について調べた。まず透過型電子顕微鏡により新規ファージの形態学的解析を行い、形態学的には頭部、尾部を有するT-even系ファージであることを確認した。それぞれのサイズは頭殻長、頭殼幅、収縮鞘を有する尾部長はφEが95.8、65.8、101nm、φAは108.9、85.3、100.1nmであった。次に頭部およびスパイク部のゲノム解析により、これらの2種類のファージはfamily Myoviridaeのmorphotype A2に属するファージと判明した。 今後、さらに多くの大腸菌株を収集し、φA、φEの溶菌活性をさらに拡大させるため、遺伝子の改変などによりさらに強力なファージを収集する予定である。
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Research Products
(2 results)